経済指標ダッシュボードには、アメリカのモノ情報も多く盛り込まれています。
もともと、海外との貿易情報を瓦版のような一覧にしようと、まとめたのが日本経済新聞の原点でしたね。
源流は「CRB指数」「農産物需給予想」
海外からのモノ情報は、CRB指数でした(第5章「商品市場」※有料記事)。金や銀などの鉱物、トウモロコシや大豆などの穀物、その他牛肉や綿花、ゴムなどの資源の価格動向がわかります。穀物は食糧としての価値だけでなく、エネルギー源になったり、家畜の飼料にもなるので非常に大切な商品です。またゴムはタイヤに利用されるなど生活に欠かせない資材ですね。
CRB指数は、株式市場のNYダウやNASDAQ、債券市場の10年国債利回りと並んで、商品市場を代表する指数で、景気に8か月先行するとされます。
CRB指数を構成する商品のうち、農産物については毎月中旬に発表される「農産物需給予想」でした。これらの需給関係によって価格が大きく変化し、卸売物価指数(日本の企業物価指数に相当)や消費者物価指数に反映されます。
なかでも、消費者物価指数はアメリカ国内の消費に大きく影響するので、注目の指標です。
輸入コストも大切な情報
私たちが手にする海外からの輸入品について考えるとき、原材料費、輸送コストがかかるのはもちろんこと、現地通貨を日本円に換算する必要があります。つまり為替です。
現在の為替レートを知るには円相場が分かりやすいのですが、たとえばドルに対して円高に振れた場合、「純粋な円高」なのか「ドル安」なのかを知ることって大切なんですよね。そのための指標として、各国の通貨の強弱を表した通貨インデックスがあります。
【円相場 対ドル】
ドルGDP総額/円GDP総額 = 日米間の経済格差/円GDP総額÷ドルGDP総額
=日米間の経済格差/円
【通貨インデックス】
通貨の総合的な価値を示すインデックス(各国の通貨の他の通貨に対する価値を総合的に知るための指数)です。各国の貿易額に応じて為替レートを加重平均した実効レート指標で、日銀は公表する実効為替レートに近い指標です。
私たちは、何に関してもコストがかかることを悪とする場合が多いですが、景気の観点からすると“金回りが良い”状態を意味するので、消費意欲を増大させることにつながります。結局また、消費額につながるんですよね。
併せて、夕刊に掲載のバルチック海運指数も注目しておきたいところです。これはバルチック海運取引所(ロンドン)が発表する運賃の指数です。かつて、特定の国が運搬船を買い占め、高額で借り続けたことで日本への輸入品の価格が上昇したことありました。
【バルチック海運指数】
鉄鉱石・石炭・穀物などを運搬する外航不定期船の運賃を取りまとめて算出・発表する。基準となる1985年1月4日を1000として算定している。
日本の玄関口が「日経商品指数42種」
さて、日本に入ってきた商品の相場が日経商品指数42種(第5章「商品市場」※有料記事)です。CRB指数の日本版だと言えます。
消費者の手もとに届いた時点で消費が決まる
ここから私たち消費者の手に届くまで、企業どうしの取引(企業物価指数)があり、最終的には消費者物価指数として物価の相場が示されます。消費者物価指数は、普段私たちが手に取る商品の相場として代表的な指数です。さらに身近なところでは、将来受け取る年金額は消費者物価指数を参考に支給額が決定される、ということもあげられます。
【企業物価指数】
企業間で売買する物品の価格水準。
【消費者物価指数】
全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合したもの。家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどう変化するかを指数値で示したもの。
消費者物価が上昇すれば物価が高騰していることを意味しているので消費者の購買意欲は減退します。消費者物価が下落すればその逆となりますよね。このように、海外からのモノの流れ(価格の動き)を把握することは、私たち個人消費者の消費に大きく影響することにつながります。ひいては、日本全体の景気を左右することになります。 消費者心理に与える影響には、さまざま要因があることを知っておきたいものです。
つづく。