これまでは主に日経新聞の紙面を通して日本の市場、景気・経済について触れました。日本の経済がどのように動いているのか、ということを知れば知るほど、その日本経済が世界経済の一部であることにも気づかされます。
注目は欧州よりも断然アジア
経済の分野で海外のトピックと言えば、欧米ではなくアジアに興味がうつっています。それは、日経新聞の紙面からの見て取れます。
夕刊1面のWORLD MARKETS([06]夕刊は日本経済の源流)には、2016年12月からアジアを代表する株式指標として「日経アジア300」が登場しました。
アジアの企業324社の株価を指数化したものですが、ニュースでよく目にするアリババ集団や百度(バイドュ)はアメリカ市場だけに上場しているため、ここには含まれません。
日経アジア300のほかにもASEAN(東南アジア諸国連合)を対象にした日経アジア300ASEANも算出することになりました。※ASEAN→[05]レギュラー紙面で世界を俯瞰
注目は香港!アジアビジネスの最前線がわかる
[05]レギュラー紙面で世界を俯瞰で、国際・アジア面の読み方について少し触れました。
2014年春にアジアBiz面「躍進が目覚ましいアジアの最前線の情報を提供しよう!」として登場したページです。
日経新聞のwebサイトによれば、“「アジアビジネスの最前線がわかる」をコンセプトに、日本企業だけでなく、現地の有力企業や欧米大手の動向をリポートします。国や地域で変わる規制、社会問題、消費者の素顔も紹介します”とあります。
各国の政治に関すること、政治がどのように景気・経済に影響を及ぼしているのか、さらに投資に関する企業情報などのキーワードなどが満載です。
特にいま注目の市場からは、アジア注目銘柄で情報を得ることができます。アジア経済全体に影響を及ぼす企業も登場しますので、頻繁に確認しておきましょう。
また、各国でどのようなイベントが予定されているのかを、1週間の予定を確認しておけば完璧です。
各国の株式指数 “株式市場には天気予報”
夕刊には毎日、株式市場を代表する指数(前日比騰落率)が掲載されます。日々の数値を追いかけるよりは、毎週金曜日だとか月末の金曜日など、自分で決めた日に株式指数を確認するほうが動きを把握しやすいです。([06]夕刊は日本経済の源流)
さらに、それぞれの市場がどのような状態(好景気・不景気)か天気(晴れ・曇り・雨)などの記号をつけておくと分かりやすくなります。
ここの地域は景気が良い、ここの国は景気がイマイチ。そういったことを確認するのはもちろん大切なことです。ですが、もっと大切なことがあります。
それは「結果」だけを見るのではなく「原因」を探ることです。
過去記事([29]GDP(国内総生産) |国の基礎となるデータを読み取る)で確認した日本のGDPですが、これを、世界規模で考えてみましょう。
世界のGDPに締める中国のシェアは、2020年代半ば以降は20%程度で横ばいで推移すると予想されています。また、アメリカのシェアは現在の17%程度から2050年までには14%程度へと徐々に低下、インドの成長率は現在の7%から今世紀の半ばまでにはアメリカと同程度になると予想されます。さらに、EU全体のシェアが現在の17.5%程度から2050年には12%程度にまで低下すると予想されます。
このようにアジアの影響力が大きくなりますので「それぞれの国がなぜ景気が良いのか?悪いのか?」を知る必要があります。景気の良し悪しを判断するには、景気の鏡である株式市場の動向を確認するのが最も簡単です。
景気の良し悪しを決める要因
内在要因(個別要因)
その国独自の問題。たとえば政情不安、地政学リスク(習慣・文化などを含む)。
対外要因(2国間要因)
特定の国との関係性が強く、自国に問題がなくても相手国の影響を受けやすい。
その他の要因
市場の開く時間の関係で、最も近い市場の影響を受ける。(=ミラー相場)
※ミラー相場とは、ある市場の相場がほかの市場の動きに影響されることを言います。
日本の株式市場で言えば、大阪や名古屋が東京の値動きに追従するように動くことが当てはまります。また、日ごろ株式投資をしている人なら東京はニューヨークの値動きに追従することは経験的に知っていると思います。
関係性の強い国の影響を受けているのであれば、相手が「晴れ」、自国は「雨」になるます。それは一方が儲かれば、もう一方は損するという自然な法則です。
ミラー相場であれば、どちらも同じ予報になります。
そして、自国の影響であれば、よその国とは関係ない予報が続きます。