[29]GDP|国の基礎となるデータ

日経新聞の読み方

 たくさん並ぶ経済データの数字。そのなかでももっとも重要なものはGDP(国内総生産)です。日本は景気が良いのか?悪いのか? 日本の経済規模と成長具合。これらを教えてくれる経済の基礎情報がGDPです。

 【GDP|国内総生産】

 1年間に国内で出来上がったものの総額。価値のあるものがどれだけ作られたかを意味します。目には見えない「サービス」も含みます。この額がその国の経済規模を表します。

 このGDPですが、経済指標ダッシュボードでは最初にあります。日本の経済規模は、名目値で542兆円、実質値で539兆円程度だということが分かりますね。

名目値と実質値の違いは数字の使い方の違い

 GDPには、名目値と実質値の2つがあり日経新聞にはどちらも掲載されています。簡単に言うと

名目値 金額そのもの。ナマの数字。
実質値 インフレ率によって調整した数字。

です。「GDPが上がった!」と喜んでいても、モノの値段も一緒に上がってしまったらあまり意味がありません。この「モノの値段の上がり具合」を調整したGDPが実質GDPです。

 ですから、ある年の名目GDPを比べても実感に即した比較にはなりません。この場合は、実質GDP同士を比較することで正しい経済成長率をだすことができます。

 では、名目値は何に使うのでしょうか?名目GDPは、量そのものを見るための数字です。経済規模がこれくらいなんだ、という把握のために使います。この2つは、「数字の使い方が違う」と覚えておきましょう。

 よく”経済成長率”という言葉を耳にしますが、これは1年間でGDPがどれくらい変化しているのか(%)を示しています。たとえば前年のGDPが500兆円だったとして、今年の名目GDPが550兆円なら単純に成長率は10%ですが、この1年で物価が10%上昇していたとすると実質GDPは500兆円のままで、成長率は0%です。

 実質値=名目値-物価上昇

日本はインフレ?それともデフレ?

 「インフレ」「デフレ」という言葉はよく耳にしますが、モノの値段が上がる環境が「インフレ」、どんどん下がっていくのが「デフレ」です。モノの値段が下がったら嬉しいような気がしますが、国の経済を考えるとそうではありません。

 GDPの2つの数字を比べて

・「名目値」より「実質値」のほうが大きければデフレ
・「実質値」より「名目値」のほうが大きければインフレ

となります。

実質GDP、名目GDP

 たとえば、2022年1月~3月のGDPは、名目値が542兆円で、実質値は539.8兆円ですから名目値のほうが大きく、インフレですね。

GDPの内訳|GDPは4つの数字からできている

 日本のGDPが「だいたい540兆円」とわかったところで、次にその内容を見ていきましょう。GDPは大きく分けると以下のようになります。

  GDP=C(個人)+I(法人)+G(政府)+X(外需)

 1つの国で一定の期間内に生産(供給)されたものは、必ず誰かの消費(支出)となっているため、GDP(国内総生産)とGDE(国内総支出)は等しくなります。

GDP(国内総生産)=GDE(国内総支出)=下記の合計

[個人]民間最終消費
[法人]民間住宅投資+民間企業設備投資+民間在庫投資
[政府]政府最終消費+公的固定資本形成+公的在庫投資+純輸出

という関係があります。

GDPの構成を見てみよう

 大きく分けて4つあるGDPの内訳ですが、これらは経済指標ダッシュボードで確認できます。また、それぞれがGDPの経済成長率にどれくらい影響を与えているか、その度合いを「寄与度」と言います。1つひとつ見てみましょう。

GDPの内訳

■個人レベルの消費C(寄与度55%)民間最終消費

<消費>消費支出などが関係する。

【消費支出】二人以上の世帯がどれくらいの消費をしているか、前年比で掲載されています。

■企業レベルの消費I(寄与度24%)民間住宅投資+民間企業設備投資+民間在庫投資

<機械受注・稼働率>機械受注(船舶・電力除く民需)
<短観・法人企業統計>全産業設備投資などが関係する。

【機械受注】
 調査対象となっている企業280社が受注した設備用機械類の受注状況の金額
【設備投資】
 会社が機械・工場などの固定資産へ投資した金額

■政府レベルの消費G(寄与度20%)政府最終消費+公的固定資本形成+公的在庫投資

<住宅・建設投資>→公共事業請負金額などが関係する。

【公共工事請負金額】
 政府がどれだけお金を使おうとしているのか、公共工事に使われる金額を示します。

■海外とのやり取りX(寄与度1%)純輸出

<貿易>→輸出、輸入などが関係する

【輸出】【輸入】これは簡単ですね。「輸出額」から「輸入額」を引いた利益を見ればOKです。ただし、為替との関係から円相場、貿易収支なども確認する必要があります。

寄与度は各国の個性がでる

 少しわき道にそれますが、GDPを構成する「C」「I」「G」「X」について各国ごとの特徴を見てみましょう。

 アメリカは、「C」の割合が大きいのが特徴です。個人の消費に頼っていることがよくわかります。そのため、アメリカ経済は個人消費に大きく影響する「雇用」が重要な要素になります。

 ほかにも、国ごとに特徴的なグラフになっているので、GDPの構成の違いが景気の差にもなることを知ると面白いかもしれません。

各国のGDPの内訳

つづく。

北海道うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より「健康なお金の専門家」として、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金・分かるお金・せせらぐお金”の探究を楽しんでいる。