平等と公平(9)夫婦同姓は男女平等であり不公平である

平等と公平

東京都内の3組の事実婚の夫婦は、2018年に夫婦別姓での婚姻届を受理するよう求める審判を申し立て、別姓を認めない民法と戸籍法の規定が男女の平等などを定めた憲法に違反すると主張していましたが、夫婦別姓を認めない民法の規定について、2021年6月23日、最高裁判所大法廷は憲法に違反しないとする判断を示しました。憲法に違反しないという判断は、6年前に続いて2度目のことです。

夫婦同姓

申立ての内容

どういったことを申立てたのか、確認しておきます。

・民法750条(夫婦の氏)
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
・戸籍法74条(婚姻)
婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
1.夫婦が称する氏
2.その他法務省令で定める事項

これらが

・憲法24条「結婚などの法律 個人の尊厳・男女平等に立脚」に違反
・憲法14条「法の下の平等」に違反

との申立てでした。

平等なのか、差別なのか

たびたび議論になる当該民法の規定については、国連で採択された女性差別撤廃条約の委員会が過去3回にわたって日本政府に対し「法律を改正すべきだ」と勧告しています。

これについて私個人は、委員会が主張するような“法律を改正すべき女性差別”とは感じていません。夫婦の名字を同じにするとしているだけで夫婦(男女)が平等だからです。ましてや“差別が存在する”なんてことには思いも及びません。ですが、どうしてそのような発想が生まれるのか・・・考えました。

女性には現実的に不利益を与えている

検察官出身の三浦守裁判官は「夫婦の名字を同じにする現在の制度は、現実的に女性に不利益を与えている。夫婦別姓の選択肢がないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、憲法に違反する」という意見を述べました。

厚生労働省の「平成28年度人口動態統計特殊報告『婚姻に関する統計』の概況」によると、平成27年度では、96%が夫の姓を選択しています。「夫婦とも初婚」の場合は、さらに高く97.1%が同じく夫の姓を選択しています。ただ、その理由について分析されていないのが「統計」の残念なところです。それぞれの夫婦・家族が「勝手に」夫の姓であるべきだと考えていないか、です。それは、家族で話し合うべき内容であり、民法云々ではありません

夫婦別姓は、世界に遅れをとっている

2010年の法務省の調査によると、同姓か別姓かを選べる国の例として、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシアなどがあります。また、フランス、韓国、中国などは原則別姓です。そして、イタリアやトルコは、夫婦の姓を合わせる結合姓が採用されています。

このような状況なので、日本が世界から遅れをとっているという意見があります。進んでいるとか遅れているとか、そういうことでしょうか。“姓名”の考え方について、世界標準に合わせるということに、私は違和感を憶えます。

では、個人の尊厳はどうなのか

姓を変えることが、個人の尊厳を蔑ろ(ないがしろ)にするという考えもあります。婚姻を考える両者とも姓を変えることに抵抗がある場合には確かにそうなります。しかし、どちらか一方がそう思わない場合には、その考えは成立しません。ところで、個人の尊厳とは何でしょうか?

個人の尊厳
『すべての個人が互いを人間として尊重する法原理。 日本法では最高の価値基準であり、各種基本的人権、中でも平等権を直接根拠づけるものとされ、世界的・歴史的には憲法制定権力に正当性を与える自然権として理解されます。』

自分を尊重、そして互いを尊重という原理ですね。

閑話休題;権利と義務

個人の尊厳、権利を主張するのは結構です。当然の権利です。ですが、権利を主張する時は、自分にとって不具合な事案が生じている場合です。そして、とかく権利を主張するばかりに、義務を怠っている場合が散見されます。


チェック項目どちらかにマークすべきところに両方マークしていないでしょうか。それは、役所に対する単なる嫌がらせですよ。


将来、子どもができた場合に、子どもの姓については、どう考えますか。 子育ては、親の義務ですよ。


別姓にしたときに起こるであろう不具合の解決策があるか。

自分がどう考えるか、どう生きるかは、それぞれの自由です。ですが、自分の自由を主張するばかりに、足元を救われないような主張が必要ですよね。

●なぜ「それを選択したのか」確固たる夫婦間での合意があること
●「それを選択したのか」を後生に説明できること
だけは、決めておきましょう。

では、どうあるべきか

様々な意見があるのは時の流れ、時代の変化です。私は、夫婦の姓は各家庭の自由だと考えています。同姓でも別姓でも結合姓でも良いです。選択の自由も構いません。

本件は国会で評価判断されるべき事案であり、裁判所に判断をゆだねるべき事案ではありませんね。

●世界標準に合わせる必要がないこと
●日本の家族制度についての見解を明示すること

を早急に議論することが、必要です。国会って、いったい何してんねやろか。ホンマ腹立つわ。

国会は開催するたびに毎日、億単位の費用がかかります。そして、どれだけ国民が困難に陥っても、議員の歳費は削減されません。責任をって「大臣報酬、〇〇報酬を■割削減」とありますが、議員本体の報酬は削減されません。一票の格差などと声高に訴えていますが、定数調整ばかりで定数削減については一向に議論が進みません。

国民の不満は、議員(政府)と庶民(企業を含む)の間に「不公平」「不平等」ともに存在していることです。

お金についての平等と公平についてお話しています。

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。