CFP®試験の分析(2021年第1回相続事業承継)

CFP相続

相続・事業承継

相続・事業承継でとくに注意したいのは「民法と相続税法の違い」です。民法は、相続する人たちの間でモメごとが発生した場合の、解決方法についての決めごとです。財産の分け方、話し合いのルールなどが決まっています。一方の相続税法は、税務署がいくら税額を徴収すべきか判断する材料です。それぞれのルールをしっかり理解しておく必要があります。

1.相続の概要は、民法のルール。定番の出題です。

民法の判断基準はいまです。ですから、いま

  • いくらの価値の財産なのか
  • 誰が財産を受け取るつもりなのか
  • 過去の財産のやりとりを、どのように感じているのか
  • 家族間での話し合いの結果をどう生かすか、遺言をどうする

などが大切です。今回も定番の出題でしたので、必ず得点しておきたいところです。

  • 相続財産の計算 法定相続分、相続人(放棄や廃除)、修正(寄与分や特別受益)、遺贈
  • 時事問題 特別の寄与、配偶者居住権
  • 遺言 効力、自筆証書遺言
  • 相続税の申告・納付
  • その他 遺産分割協議、成年後見制度

2.相続税の仕組みも、定番の出題でした。

税法は税務署がいくら徴収すべきか判断する材料ですから、どのように財産を評価するかの理解が必要です。それぞれのルールについて、これまで通り、オーソドックスな出題が続きましたので、ぜひ得点源にしたい出題内容でした。ただ、畳みかけるように計算問題が続きますので、問題ごとに頭を切り替える練習が必要です。

  • 課税価格の計算 保険金(生命保険や医療保険)、退職手当金や弔慰金、生前贈与財産
  • 相続財産に関する知識 債務や葬式費用、小規模宅地の特例
  • 相続税算出過程の計算 基礎控除、課税遺産総額、配偶者の税額軽減【過去問の詳しい解説】、贈与税額控除、2割加算
  • 制限納税義務者、国外財産財産評価

3.相続対策は定番問題から3問連発

養子縁組、生命保険契約、不動産の活用によって課税遺産総額がどのように変化するかを問うものです。今回初めて3問出題されました。時間かかる問題で、正確性を問われるものなので、過去問でしっかり傾向を演習しておく必要がありました。

4.贈与税の計算も定番

今回は計算問題が少なかったです。相続に関しての計算問題が多かった分、このような配分になったのかも知れません。知識については易しい出題だったので、必ず得点しておきたいところでした。

・贈与税額の計算 暦年課税、相続時精算課税
・課税財産の知識 贈与財産、配偶者控除【過去問の詳しい解説】、精算課税制度、特例財産

5.財産評価は設定がややこしい問題が多かったです

不動産(土地)の評価について、これまでよりもややこしい設定(条件)の出題でしたが、基本に忠実に回答できるような内容でした。
金融商品や自社株の評価については標準的な出題でしたが、最後に事業承継に関する知識を多く問われたので、きっちり理解している人でないと難しい内容だったかも知れません。

総括

6課目で、もっとも「過去問依存が高い」課目です。従来とは出題量の配分がずいぶんと異なりましたが、出題内容については従来通りと言えます。繰り返し演習することで、必ず克服できるはずです。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
 金融不動産ライフリスクタックス相続

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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。