[10]企業の能力を知る②長期戦のプロジェクトと即効性のお宝銘柄

日経新聞の読み方

 前記事につづき、企業の能力を知る方法についてお伝えします。

ステップ2「Reプロジェクト」/ 先進国はインフラよりも5つのRe

 これから経済発展を遂げようとする国々は「インフラ整備」が国の急務であり、経済を支えます。交通機関の整備や、下水道・電気工事などです。

《「Re」の技術を身に付けた企業が輝く》

 一方、先進国では「Reプロジェクト」が重要です。これから建物や交通機関を作るのではなく、出来上がったものを維持することのほうが大切ということです。

 Reがつく単語には「再び」という意味を持つものが多いですよね。開発され尽くしてもう十分に発展した国では「新たに」ではなくて「再び」が経済のカギを握ります。

 鉄道関連の設備の故障や高速道路の橋脚の不具合などの報道が増えているのもこれに関係しています。先進国では「Re」がその国をガキとなる経済活動であり、ビジネスのヒントとなります。

 ヒントとなる5つのReとは、以下の通りです。ひとつずつ確認していきましょう。

5つのReプロジェクト
5つのReプロジェクト

再使用【リユース】

「そのままのカタチ」で再使用すること、繰り返し使うことです。

 バザーとか、お下がりとかいうと大げさですが、中古品を扱うビジネスは注目です。

 新規事業を起こす場合、オフィス和への投資を極力避けようとして中古家具を利用することもあります。私は、一般向けのリサイクルショップの情報にも注意しています。

トレジャー・ファクトリー、家具・家電のリユース店

総合リユース店を運営するトレジャー・ファクトリーは家具や家電製品を中心に扱う大型店「トレファクマーケット」の出店を始める。出張買い取りで集めた商品を市場のように並べて販売する。6日に1号店を千葉市内に開く。家族連れの需要を取り込んで1号店は年間1億円の売上高をめざす。

2016年8月2日朝刊

修理【リペア】

 改修・修理をしながら大切に、継続して使用すること。

 作り変えること、やり直すことが難しい場合には現況を補修しながら使用を継続することが求められます。

 今の日本では交通網、インフラ網などがもっとも当てはまるでしょう。最新技術を開発・導入した企業への要望が非常に高い傾向があります。

インフラ点検 人手かけず

トンネルや橋梁といったコンクリート構造物を熟練作業員に頼らずに点検する技術の開発が相次ぐ。山口大学と大成建設はそれぞれ、小さなひび割れでも画像で高精度に識別。東芝や鹿島は劣化をセンサー技術で監視する。経済成長期にできたインフラをすべて建て替えるのは難しく、適切な維持管理が不可欠。人手不足もあり、点検の手間やコストの削減に向け、実用化を急ぐ。

2016年8月29日朝刊

再使用【リサイクル】

 形状を変え、再度使用すること。

 家電業界では、「回収できない商品を売るな」と言われるほどです。

 リサイクルコストは膨大なものになりがちで、メーカーには、作る段階から廃棄しやすさが求められています。そこそが「真の技術」ということにつながります。

都市に眠る「五輪メダル」 廃家電からリサイクル

廃棄する携帯電話やパソコンから「五輪メダル」を作ろう――。愛知県の家電回収会社と自治体・大学が21日、こんな目標を掲げる新組織を立ち上げたと発表した。メダル材料は電子機器に豊富に含まれる貴金属だ。課題は都市に眠る資源をどう効率的に集めるか。新たな取り組みが始まろうとしている。

2016年10月21日朝刊

削減【リデュース】

 資源を使う量やゴミの発生を減らすこと。

 消費者としては生ごみを堆肥に変えること、水道や電気の使用量を調節することが思いつくでしょう。生産者にとしては商品の耐久性を向上することや、梱包の簡素化などです。

 長持ちしやすいこと、他の用途に利用できることは、廃棄されるゴミの削減につながります。こういった環境整備も新たなビジネスチャンスと言えます。

コカ・コーラ、日本でSDGsのトップランナーに

容器のイノベーションはリサイクルだけではない。廃プラスチックの量を減らす「リデュース」も重要になる。21年5月末にはコカ・コーラのペットボトルにラベルを付けない「ラベルレス」も発売した。ラベルレスの商品はお茶やミネラルウオーターなどが多い。コカ・コーラも当初は「い・ろ・は・す」などでラベルレスを販売していたが、「綾鷹」や「カナダドライ ザ・タンサン・ストロング」「アクエリアス」など商品数を大幅に増やしている。

2021年8月16日朝刊

拒否【リフューズ】

 ゴミの発生源を絶ったり、ゴミになるものをもらわないようにしたりすることのほか、環境対応が不十分な企業からの材料調達を拒絶することなどが該当します。私たち個人レベルでは、コンビニエンスストアでプラスチック製のスプーンやストローなどをもらわないことで、ごみを削減してCO2排出量やにつながったり、代替品の開発が進むなどの効果もあります。

CO2削減へ取り組み加速

大和ハウス工業は木材調達による森林破壊を根絶するため、独自の木材調達の方針を策定した。2030年までに建設する物件を対象に、55年までには全事業における材料調達で森林破壊を根絶する目標を掲げる。森林破壊ゼロの方針を掲げない取引先からの木材調達を原則として禁止するほか、調達の際の調査対象を広げる。

2021年11月16日朝刊 SDGs経営調査

ステップ3「詩人へ鍵はID」/ 即効性の高い、お宝銘柄発見法

 次のステップは、これまで見てきた「3つの経営ING」「Reプロジェクト」と比べ、速効性が高く大化け銘柄となる可能性を秘めていますので要チェックです。

《経営が上向く8つのポイントに注目》

 その合言葉は「詩人へ鍵はID」。変な言葉ですが、企業の経営が上向く8つのポイントの頭文字を覚えやすく並べたものです。

経営が上向く8つのポイント
経営が上向く8つのポイント

新事業

 先見性の高いビジネス、株価へ反映される爆発力は強いです。古くは、旭化成が化学繊維から住宅分野に、積水化学工業も塩化ビニール整形から住宅分野へ転身した例があります。またパナソニックが介護分野に参入したり、フジフイルムが化粧品メーカーとして転身したことが最近では大きな話題となっています。

資生堂、保育所に参入 JPと新会社

資生堂は1日、保育施設雲煙のJPホールディングスと保育事業を始めると発表した。2017年2月にも共同出資会社を設立し、事業内保育所の運営受託を手掛ける。従業員が働きやすい環境づくりを進める。資生堂は今後、他社からも事業内保育所の運営を受託考えだ。

2016年11月1日朝刊

人材育成・管理

 企業は、社会的責任を果たすことが企業理念に掲げられています。なぜその企業が存在するのか、何ができるのか。その手段となるのが商品の開発ですが、それ以前に従業員をどう育てるかも、大きな課題となります。アウトソーシングにあった「スーパーに外国人実習生」の記事も人材育成に関連する記事と言えますね。日本人だけでなく、仕事に復帰する主婦層やリタイア組、そして外国人労働者に対する育成方法などには注目が集まります。

清水建設、若手社員向けに体験型研修施設

清水建設は若手社員向けの体験型研修施設を新設する。投資額は約11億円。構造物の実物に触れながら、部材の名称など工事の基礎知識や品質検査の手法などを学ぶことができる。建築に関する幅広い知識を習得してもらうことで施工管理の能力などを高め、建築物の品質向につなげる。

2016年10月22日朝刊

AI、自動判別

 「人の手を離れて」何らかの判断、行動が行われるのが当然の時代になってきました。

 これまで人間がコツコツ苦労していたこと、人間が「なんとなく判断」していた手間が省ける技術があらゆる分野で導入さています。

ダイキン・NEC、次世代エアコンで提携

ダイキン工業とNECは次世代エアコンの研究開発で提携する。ダイキンはエアコンで世界最大手だが、人工知能(AI)などのIT(情報技術)分野で他の電機大手に出遅れている。両社で研究室を設け、NECが強い顔認証技術などを活用して個人に合わせてきめ細かく温度を調整できるビル用エアコンなどの開発に取り組む。

2016年10月22日

環境、ECO

 避けて通れないキーワードです。「Reプロジェクト」でも触れたように、ものを作る・消費する時代から、ものを再び利用することで、限りある資源を有効活用しよう!あるいは観光を守ろう! という時代に変わってきました。日本でも、有名な企業が環境に対する取引を積極的に進めていることが分かります。

日立、50年度までに CO2を8割削減 パリ協定受け

日立製作所は5日、2050年度までの環境長期目標を発表した。製品の使用時を含めた二酸化炭素(CO2)の排出量を10年度比8割削減するほか、グループ内の水利用効率に関しても数値目標を設けた。このほど米国と中国が批准した「パリ協定」では今世紀後半に温暖化ガスの排出量を「実質ゼロ」とする目標を掲げる。企業も長期の環境目標を書かkゲルことが求められている。

2016年4月16日朝刊

技術革新

iPS細胞や青色LEDのようなノーベル賞を受賞するレベルの革新はなかなか登場しないものです。しかし、日々の記事を確認すると、それらのきっかけになりそうなナタが多くあります。例えばいま注目の技術といえば「炭素繊維」です。

炭素繊維、東レ上昇気流 ボーイングと1兆円契約発表

東レは17日、米ボーイングから航空機向け炭素繊維複合材を1兆円分受注すると正式発表した。過去最高の取引額となり、東レは1千億円を投じてゲイ国に工場を新設する。既存工場と合わせると、米生産が初めて日本国内を上回る。両社は事業拡大に向けて、複合材などの共同開発を始めることを明らかにした。商業生産開始から約40年を経て、東レの炭素繊維事業は新たな段階に入る。

2014年11月18日

販売管理

 「ダウンサイジング」にも通じる分野ですが、経営のスリム化や効率改善は、企業に求める重要な要素です。販売管理というと地味な活動のように聞こえる人も多いかもしれませんが、私たちが手に取る商品のコストに直接反映されることでもあるので、チェックしておきたい内容です。最近では、販売管理についてもAI(人工知能)を取り入れる動きがあり要チェックです。

ソフトバンク、携帯販売店の接客にAI活用

ソフトバンクは来春にも携帯電話の販売店に人口知能(AI)を取り入れて接客の効率を引き上げる。料金プランや割引の適用条件など店員が即座に答えられない質問に対する解答時間を半分以下に減らす。スマートフォンの新機種や動画など新サービスの商談に時間を割けるようにし、台頭する格安スマホに対抗する。

2016年9月28日朝刊

IT、IoT

 今さらITというと、対象が広すぎですがITそのものというよりITを使うことで格段に問題解決がはかれるようなケースがまだまだたくさんあります。あらゆるモノがインターネットに接続され、消費者としても、ビジネスパーソンとしても便利になる場面が増えることでしょう。

三菱電機、船舶にもIoT 

三菱電機は船舶向けのIoT(モノのインターネット)事業を始めた。船舶の動力は油圧が一般的だが、世界的な環境規制を受け電化が進んでいる。三菱電機は工場の自動化で培ったノウハウを生かし、船の怒りを昇降する機械の使用状況を集中管理できるようにして船舶運航の省エネルギー化を提案する。

2016年4月16日朝刊

DX

 DXとはDigital Transformationの略です。Transformationは「変容」という意味なので、DXは「デジタルによる変容」となります。デジタル技術を用いることで、生活やビジネスが変容していくことをDXと言います。

 つまり、さきほどのITが手段で、DXはその結果(あるいは目的)ということになります。ですから、既存のアナログや生活スタイルやビジネスモデルを単にデジタル化したり、インターネットに接続することで便利になるという話ではなく、製品やサービス、ビジネスモデルまで変革する状態のことです。

日立、送配電網の点検・監視をDX 故障リスク早期発見

日立製作所は24日、送配電網の設備の点検・監視をデジタルトランスフォーメーション(DX)するシステムを提供すると発表した。センサーで収集した現場のデータと企業の基幹システムを連動させ、設備点検の自動化や故障リスクの早期発見につなげる。設備のデータを地図で表示する機能も搭載する。

「ルマーダ・インスペクション・インサイツ」は、カメラや3次元センサーなどを使って収集した映像データを解析し、顧客や資産管理といった基幹システムのデータと組み合わせる。変電所の3次元データをリアルタイムで更新し、事故の予兆を発見する。


2022年5月24日

企業の能力を知る方法は3ステップキーワードである、3つの経営ING5つのReプロジェクト8つのキーワードなど、いろいろです。まずは、ひとつだけでも良いので、自分でテーマを決めて、探し始めるのも良いでしょう。

つづく。

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。