これまで、企業の魅力(=能力)について触れてきましたが、ここからは魅力の土台となる「戦力」と、一定期間の「成績」について考えます。
ビジネス面|企業戦略をよむ/差をつける「深読み」「推測」の技術
ひとつひとつの企業に関する情報はビジネス面またはビジネス・テック面、そして企業・人事面(不定期)で確認できますが、それぞれに役割が異なります。
ビジネス面では、新体制、新能力など、今後の計画などを見据えた決定事項を知ることができます。テック面(火曜日はビジネス・テック面)では、新技術や知的財産など、将来を見据えた技術面での成果が分かります。そして企業・人事面では、こういったことを実現するための新人事が掲載されています。これらの紙面では、企業が大切にしている“3つのion”を迅速、かつ着実に実行するための手段が書かれているわけです。
どのような考え(Vision)にもとづき意思決定(Decision)を行い、どれだけ素早く正確に伝達が行われるか(Communication)は、経営の基礎であることは言うまでもありません。ですから、この基礎が徹底できている企業こそ、信用・信頼でき、業績にも結びつくわけです。
それでは、こういった体質・戦略を読み解くポイントを紹介します。
《5W1Hで深読み》
企業戦略は、あらゆる“新”情報が掲載されます。“新”が、いつ誰に効果があるのかを確認しておくと、さらに情報の精度が高まるはずです。
- 新商品 → 誰が、いつ、どこで使うのか
- 新人事 → 誰か、いつから、どのような役職になるのか、何故か
- 新工場 → いつ、どこに、どれくらいの規模で建設するのか
- 新体制 → いつ、どこの企業と、何故
このように、5W1H(「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」)を意識しながら情報を整理することが、企業情報を探るコツです。
《ニュース一言では、行間を読む》
企業情報で見逃しなのが、ニュース一言です。これは、各企業の社長がどのような発言(過去の切り取りを含む)したかについて、記載されています。ここで読み解くべきは、
- 何を言おうとしているのか
- 同業他社のことをどう考えているのか
です。写真つき・実名で自分の言葉が載るので、それは「表向き」の言葉であるのは当然です。株に活かすなら、「表向き」の言葉からどのようなことが透けて見えるのかを考える必要があります。
《会社人事では「前職」を要チェック!》
会社人事には、上場企業およびそれに順ずる企業の部長クラス以上の人たちの人事異動が掲載されています。取引先の人事を把握するなど、仕事に役立つ読み方をしてる人も多いです。
●月●日付 新役職(旧役職)名前
旧役職がない場合は新任であることを意味しています。
ここの読み方ですが、「旧役職が銀行(金融機関)ではないか」という点に注目してみましょう。銀行出身者が異動してくるということは、多かれ少なかれ会社のお金の面で立て直しが必要だ、ということを意味するからです。 また、(旧役職)○○研究室→(新役職)本部などの場合、その研究・商品開発に本気で取り組む意思表示と考えることができます。
これらも「深読み」「推測」すれば立派な「投資で儲かる読み方」に早変わりするのです。これまでよりレベルの高い読み方ですが、挑戦する価値はあります。
《主語を変える、ライバルを知る》
企業情報については、個別企業の記事が記載されて、いろいろ推測することが大切だということがわかりました。でも、それだけで終えないでくださいね。
さらに実践して欲しいのは「主語を変える」ことです。
例えばトヨタ自動車の記事があったなら、日産自動車は?本田技研は?と考え、記事を探すことが大切です。他の企業も同じ傾向があるのなら“業界全体”の動きとして捉えることができます。
他の企業とは異なる傾向があるのなら、それは独自の動きだとして理解できます。そんな動きが見つかったときほど株価への影響が大きくなります。
お勤めの人は、ライバル会社のことが記事に出ていたら「ウチの会社は何をしているのか?」を常に知っている状態でないといけません。
《囲み記事は旬のネタ、コミュニケーションツール》
ところどころ、ページの中央に四角い枠で囲まれた(他の記事を押しのけるように挿入された)記事があります。これは、箸休めというか気分転換に持って来いの”旬のネタ”が書かれています。「これを情報知っておくと役に立ちます」「ほかの新聞には書いてないことです」というメッセージがこめられています。ぜひチェックしてください!
「今朝の日経の記事、読みましたか?」といった会話、この記事をネタにするビジネスパーソンが結構多いですよ。