平等と公平(19)私がSGDsにモヤモヤする理由

平等と公平

 SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2030年までに達成すべき国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール、169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。

 確かに、そうあって欲しいとは思いますが、「誰一人」取り残さないという、極端な目標に違和感を憶えてしまいます。

目標10 人や国の不平等をなくそう

 17のゴールのうち、10番めの目標が「各国内及び各国間の不平等を是正する」ということで、7つの達成目標と、3つの達成方法で構成されています。

達成目標

1 各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。

2 年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

3 差別的な法律、政策やならわしをなくし、適切な法律や政策、行動をすすめることなどによって、人びとが平等な機会(チャンス)をもてるようにし、人びとが得る結果(たとえば所得など)についての格差を減らす。

4 財政、賃金、社会保障などに関する政策をとることによって、だんだんと、より大きな平等を達成していく。

5 世界の金融市場と金融機関に対するルールと、ルールが守られているか監視するシステムをより良いものにして、ルールが、よりしっかりと実行されるようにする。

6 世界経済や金融制度について何か決めるときに、開発途上国の参加や発言を増やすことによって、より効果的で、信頼できる、だれもが納得することのできる制度を作る。

7 計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。

SDGs 10番目のゴール(7つの達成目標)

ということで

 チャンス(機会)や付与される環境は平等であるべきですが、誰もが納得できる結果や制度を実現するのは、無理のある目標であると感じてしまうのです。
 目標を重視するばかり、特定の層にばかり高配し、偏ったお金の流れを作ってしまうことは不平不満が助長される要因となります。そればかりか、目標が達成できたとすると、特定の層へのお金の流れが途絶えることを意味します。
 その時に何が起こるかを考えるとゾッとします。

 お金を平等・均等に流してしまうことには危険を伴います。
 お金は公平にしか流れないことは、過去にも触れた通りです。
 つまり、結果は平等ではなく、公平であるということです。

達成方法

a. 開発途上国、特にもっとも開発が遅れている国ぐにに対して、世界貿易機関(WTO)協定にしたがって、貿易において、特別な、先進国と異なる扱い※をする。※先進国に安く輸出したり、国内産業を守るために輸入品に高い関税をかけるなど

b. もっとも開発が遅れている国や、アフリカ諸国、開発途上の小さい島国、内陸の開発途上国などの、もっとも資金を必要とする国ぐにへ、それらの国の計画にそって、政府開発援助や直接投資などの資金が流れるようにする。

c. 2030年までに、移住労働者が、自分の国にお金を送る時にかかる費用が「送る金額の3%」より低くなるようにし、「送る金額の5%」を超えるような費用がかかる送金方法をなくす。

SDGs 10番目のゴール(3つの達成方法)

ということは

 平等な結果、平等な成果、誰もが納得できる制度を構築・実現するためには、特定の国ぐに・地域へ、特別な配慮を行うことになります。当然に必要なことですが、これらの手段を平等と称するには無理があります。

 誤解の無いよう言っておきますが、こうした仕組みを完全に否定するつもりはありません。
 平等・均等な社会や世界を実現するなら、どうしても不平等で不均一な仕組みを導入する必要があるということです。
 ここに挙がっている3つの達成方法は、明らかに不平等で不均一な仕組みです。そこに気づいているでしょうか。

 不平等で不均一であること、それは「公平」です。
 平等で均等な社会なんで実現できないと思っています。それは、みんなが全く同じだからです。実に奇妙な世界です。
 各人の特徴を重んじ、豊かな社会というのは公平な社会・世界です。

平等と公平とは全く異なります

・あまりに平等を主張するばかりに
・あまりに特定の層の権利を優遇するばかりに

 平等や権利が意味することをはき違えていませんか?

 あなたの理想とする社会・世界は、公平な社会であり、義務を裏付けとする権利が認められた世界です。

 SDGsが目標であるうちは良いとしても、それを強要するような事態となったときには、それはもはや「平等や権利」だけの主張とか「多様性」を重んじろと謳った、実に暮らしにくい社会です。

 殊に、お金については絶対に平等であってはいけません。公平性を重んじる必要があります。

お金についての平等と公平についてお話しています。

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。