2022年第1回試験の分析(CFP®不動産)

不動産の出題を確認しました。

標準的な構成

 不動産での出題は、全体として「標準的な構成」でした。
細かいところで言えば、問われる箇所や計算過程が従来と異なる部分があり、苦戦を強いられた方も多かったのではないでしょうか。

 結論から言うと第1日程の3課目「金融」「不動産」「ライフプラン」とも標準的な出題構成でしたが、やや出題内容に変化、難化があったように感じます。

 さっそく、回答して難易度を確認しましたのでお知らせします。
※各単元の文末(●問/全■問)は、「全■問のうち●問は正解しておきたい」という意味です。

問1|事業収支表(マンション建設による土地活用)

 定番の出題ですが、前回(2021年第2回)と同様、出題条件の穴埋めが求められました。事業収支表がどのような過程で計算されるのか、根本を問うものであり「算数の能力」が問われていました。(問題1~3)は連続しているようで、実は独立した出題なので、できるだけ得点しておきたいところです。とは言え、計算に時間がかかるので後回しですね。(2問/全4問)

問2|収益性からみた不動産価格(複利現価)

 これも定番の出題です。いかに早く回答できるかが重要ですね。投資利回り(問題7)は、同じ計算を3度問うものでしたが、2つだけで正答が導けますね。不動産証券化投資に関する用語(問題8)も、類似した出題が毎回あります。(3問/全4問)

問3|不動産の積算価格(鑑定評価)

 定番の問題ですが、計算過程も出題対象になったため、大きな得点源です。ただし条件文(個別要因比較)が難読文になっていたので、正解の数値(問題10)と微妙にズレて苦戦した人も多かったのではないでしょうか。また、価格の種類(問題12)はかなり専門的な知識が必要であった一方で、評価手法(問題13)は分からなくても文章のニュアンスから読み取れる内容でした。(3問/全5問)

問4|宅地建物取引業

 すべてが定番問題でした。最近は借地権の譲渡(問題15)や、建物状況調査(問題17)は出題内容まで定型化しているので正答したいところです。また、一般媒介契約(問題18)は2級/AFPレベルの知識で十分対応できるものです。(3問/全5問)

問5|不動産登記

 登記事項証明(問題19)、競売物件の買受(問題20)、筆界特定(問題21)に関して<設例>を確認しなくとも回答できる内容でした。はじめに、登場人物・対象物件の名称は確認しておかないと、問題文が理解できませんね。(2問/全3問)

問7|建築基準法、都市計画法

 連たん建築物設計制度、事業用建物の場合の延べ面積の算定方法の理解など、やや難しい出題でした。基本に忠実に、条件にしたがって回答すれば正解できる内容です。建築協定(問題28)、都市計画法の地域区分(問題29)は、最近の定番問題ですから、必ず得点しておきたい内容です。(3問/全4問)

問8|不動産の取得時、保有時の税金

 登録免許税、不動産取得税、固定資産税、印紙税など定番がズラリ。覚えることが多いので、どれかに集中して理解を深めておけば良い内容でしょう。印紙税(問題32)に関しては、一般的な知識として知っておくと良い内容です。(2問/全3問)

問9|譲渡時の税金(所得税における各種特例)

 概算取得費や3,000万円の特別控除について適用要件を理解しているか、少し難しい出題でした。細かい内容まで問うものでしたが、一度理解すれば、即答できるものばかりです。大きな得点源なので、ここで合否の分かれ目となるかも知れません。(3問/全4問)

問題10|固定資産の交換の特例

 従来よりも簡単な計算(問題37)、適用要件の正否(問題38)でした。どちらも正答したいところです。(2問/全2問)

問題11|不動産の有効活用(事業用定期借地権、建設協力金)

 知識を問うものばかりで、定番の出題、知識がなくても一般論(常識)として理解できる出題(問題40-41)など、どれも正答したい内容です。借地権に関しては、本題以外にも多くの出題があるので、借家権と併せて知識を深めておくと良いでしょう。(3問/全4問)

問題12|不動産の有効活用(等価交換)

 定番の計算問題ですが、計算過程に変化がありました(問題43)。ただし、土地価格の算出方法についての説明が誤解を招く文章だったので、改善を求めたいところです。(問題43)が不正解となっても、(問題44-45)には影響がなかったことが救いです。問3についても言えることですが、誰が読んでも理解できる文章であることを望みます。(3問/全4問)

問題13|不動産関連法、関連情報

・(問題47)かなり久しぶりの農地法
・(問題48)生産緑地は時事ネタ
・(問題49)賃貸住宅管理業法は初出題
・(問題50)土地白書は定番

 どれも、知っている人とそうでない人で結果が大きく分かれるところ。あまり注力しなくても良いのでは?と思っています。(2問/全4問)

さて合格ラインは

 7月20日(水)に公表されるようですが、これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が34問/全50問でしたので、これより若干低いですかね。

※合格ライン;29問でした。(7月20日発表

 今回の試験(2022年第1回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2022年8月初旬をめどに製作しておりますので、ご希望の方は、もう少しお待ちください。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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 ・不動産運用に合格したいあなたへ
 ・試験分析/不動産 2021年 第1回 第2回
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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。