2022年第2回試験の分析(CFP®不動産)

 2022年11月13日(日)に、CFP®試験・第1日程が終了しました。2課目め、不動産運用設計について回答してみたので、結果・感想をお伝えします。

総評

 全体的な構成は従来通りでした。若干、出題方法が変更になった部分もありますが、計算問題は最近の傾向通り、文章題はやや難化したように感じました。

 とくに取引事例比較法に関しては、従来よりもかなりシンプルな内容になったので確実に得点しておきたい水準です。

 不動産投資信託、証券化に関する出題が増え、正確に理解しておくことが求められました。

 では、さっそく出題内容を振り返ります。※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/全出題数)です。

問1|老後の生活・住宅

 定番の知識問題です。サ高住[問題1]、終身建物賃貸借[問題2]、いずれも正答しておきたい内容でした。(2問/全2問)

問2|事業収支表(事務所ビル建設による土地活用)

 定番の出題ですが、近年に多い出題条件の穴埋めが求められました。事業収支表がどのような過程で計算されるのか、根本を問うものであり「算数の能力」が問われていました。回答時間に余裕があれば[問題3]~[問題5]を回答したいところですが、あまりに回答に時間がかかるので、知識[問題6]だけ回答できれば十分でしょう。(1問/全4問)

問3|収益性からみた不動産価格(複利現価)

 定番の出題です。証券化に関する知識[問題9]は難しかったかも知れませんが、計算問題[問題7][問題8]は即答できるレベルの出題でした。(2問/全3問)

問4|不動産の鑑定評価・不動産投資

 定番の問題ですが、従来に比べて計算が単純な出題になりました。総収益[問題10]や収益価格[問題11]、利回りとの関連[問題12]は必ず理解・正答しておきたい内容でした。(3問/全4問)

問5|宅地建物取引業

 不動産広告[問題14]、建築工法[問題15]、住宅性能表示[問題16]、売買契約[問題17]、クーリングオフ[問題18]、すべてが確実に得点しておきたい定番問題です。過去問を繰り返し演習していれば、難なく回答できたレベルの出題です。(4問/全5問)

問6|借地権の譲渡、筆界

 借地権に関する基本事項、譲渡時のルールについての理解が必要でした。権利関係、とくに譲渡時における制度の理解が求められる内容でした。特段、難しい内容はありませんでした。(3問/全4問)

問7|不動産登記・売買契約(登記、区分所有、競売)

 登記に関する出題が集中しました。登記事項証明[問題23]、移転登記[問題25]、抵当権[問題26]に関しては、基本事項を理解しておきたいレベルでした。ほかにも、区分所有[問題24]、競売[問題27]に関して基本的な事項を問う内容だったので、ここで取りこぼしの無いようにしておくことが大切だったかも知れません。(4問/全5問)

問8|建築基準法、都市計画法、宅地造成等規制法

 久しぶりに特定道路に絡めた出題[問題28]がありました。特定道路の定義を覚えていない/忘れてしまった場合には、回答に苦慮する内容でした。一方で、建蔽率に関する出題[問題29]、建築協定[問題30]は必ず得点しておきたいレベルでした。宅地造成等規制法[問題31]は、最近定番の出題になっています。(2問/全4問)

問9|不動産の取得時、保有時の税金

 登録免許税[問題32]、不動産取得税[問題33]、印紙税[問題34]、固定資産税[問題35]と定番が並びました。覚えることが多く、苦手とする人が多い分野かと思います。印紙税、固定資産税(都市計画税と併せて)について理解を理解を深めておけば十分な分野です。(2問/全4問)

問10|譲渡時の税金(所得税における各種特例)

 3,000万円の特別控除[問題36]、軽減税率[問題37]、買替えの特例[38]について、細かいところまで理解が必要な出題でした。少し難しかったかも知れません。タックスと併せて学んでいれば容易な内容だったと思います。【不動産に係る譲渡所得(3問/全4問)

問題11|不動産の有効活用・相続対策(事業用定期借地権、建設協力金)

 いずれも知識を問うもので、できるだけ正答したい内容です。借地権の相続税評価、建設協力金に関しては、定番の出題になっています。(2問/全3問)

問題12|不動産の有効活用(等価交換)

 定番の計算問題で、今回はシンプルな設定でした[問題43]~[問題45]。前回は問題がややこしい説明だったので、改善されたのかも知れません。立体買換え特例[問題46]は、基本的な内容を問うものだったので正解しておきたいところです。(3問/全4問)

問題13|不動産関連法、関連情報

 サブリース[問題48]については初出題でしたが、一般論として「当然そうだろう」と解釈すれば正答できる内容でした。地価動向[問題49][問題50]については、三大都市圏の動向を詳細に理解していることが求めらる難題でした。(2問/全4問)

さて合格ラインは

 これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が33問/全50問でしたので、この前後でしょう。

 →2022年12月21日発表の「合格ライン」では、32問以上でした。ほぼ、予想通りでした。今後は、有効活用の手法や、不動産価格の動向に関する情報収集が求められそうです。(2022年12月21日・加筆)

 今回の試験(2022年第2回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2022年12月27日発売です。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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 ・不動産運用に合格したいあなたへ
 ・試験分析/不動産 2021年 第1回 第2回
 ・試験分析/不動産 2022年 第1回 第2回
 ・試験分析/不動産 2023年 第1回 第2回

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。