金融に次いで専門的な知識が問われます。多くの法律についての理解です。自宅を取得した経験のある人や、賃貸業などの営む人にとっては有利な課目です。
計算問題は定番の出題が6問前後出題されます。これらが実務で役立つかと聞かると計算の知識は必要ありませんが、法律などのルールを知っていることが大きな強みであることは間違いありません。
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目次
文章題が多い、しかも設定条件が長い
文章題の特徴は設定が長いことです。細かい条件に目を通す前に、問題をざっくり確認することが効果的です。そのうえで、各問題の内容にあった設定(条件)を探すほうが良いでしょう。 不動産価格や法改正などの時事問題の出題も多少ありますが、それよりも過去に出題された定番の文章題をどれだけ復習したかで、合否が分かれます。
また、試験慣れしている方なら「文頭・語尾」に注意すれば良いことはお分かりでしょう。4択で判断に迷った場合には、「必ず~である」「すべて~である」「~のみである」は、ほぼ間違いなく「不適切」な文章です。
<出題頻度が高く、しかも問題数が多いもの>
- 借地借家法、賃貸借契約(民法)
契約のルール、存続期間・更新・契約終了の条件、満了時の対応、賃借人の権利義務 - 宅建業法、売買契約
不動産広告、売買契約書、媒介契約、瑕疵担保責任(契約不適合責任)、連帯保証 - 不動産登記法
登記のルール、借地権の存続期間・譲渡 - 相隣関係、諸問題
筆界特定など登記記録の読み取り、隣地の境界 - 譲渡時の税金(所得税)
【税額、居住用財産・事業用財産の譲渡益の特例】、空き家の特例、複数の特例の適用可否
<ほぼ毎回出題されるもの>
- デューデリジェンス
耐震性、地盤調査、土壌汚染 - 老後の住宅
サービス付き高齢者向け住宅、終身建物賃貸借、リバースモーゲージ
<余力があれば学習しておきたいもの>
言いづらいですが、あまり張り切って学習しないほうが良いものもあります。ざっと確認して、概要を理解する程度で十分です。※最後の「余力のある方へ」を参照ください。
定番の計算問題6選
1例あたり2~3問あり、全体で15問程度です。不動産収支については回答に時間がかかるので、後回しにしましょう。そして、他の計算問題は短時間で正答できるよう練習しておきましょう。
- 不動産収支 【定番問題7】収支
- 有効活用(1) 【定番問題8】収益還元、複利現価
- 鑑定評価 【定番問題4】取引事例比較
- 建築基準法 【定番問題3】建ぺい率、容積率
- 譲渡所得 【定番問題7】譲渡所得、固定資産の交換
- 有効活用(2) 【定番問題8】等価交換、効用積数
あなたに合った回答方法、学習方法
[別記事]資格試験を勝ち抜くコツを作成しました。
定番問題1. 登記・借地権・抵当権
●登記
登記に関係する権利のうち「借地権」「抵当権」に関する出題が多いです。まずは、どのようなことが登記記録に記載されているか確認し、覚えましょう。
オンライン登記に関して「閲覧」「請求」「交付」の可否についても必ず覚えておきましょう。
- 登記事項証明書;誰でも地図、図面証明書の交付可
- 登記事項要約書;誰でも窓口での申請・受取が可能
- 登記識別情報;交付が可能(紛失等による再交付不可)
●借地権
借地権は建物の所有を目的として土地を利用する権利で、地上権と土地の賃借権の総称です。借主(借地権者)が借地権を譲渡や転貸するような場合の注意点は以下の通りです。
- 地上権:土地所有者の承諾は不要
- 土地の賃借権:土地所有者の承諾が必要
借地権については「借地借家法」でも触れますが、覚えることがたくさんあります。
●抵当権
抵当権は住宅ローンなど銀行や他人からお金を借りるときに不動産に設定する担保権です。抵当権の性質「付従性」「物上代位性」「随伴性」について多く出題されます。また、継続的に生じる不特定債権である根抵当権について、その性質を理解しておくことが必要です。
さらに、借入金の返済ができない債務者が、担保として提供していた土地や建物などの不動産を、債権者が裁判所に申し立てその結果裁判所が売却する不動産を競売物件といい、その不動産を最低売却価格以上の最高値で落札するシステムが競売です。毎回のように出題がありますがたった1問なので、余力があれば覚えましょう。
定番問題2. 借地借家法
●借地関係(出題が非常に多い)
建物所有目的の地上権設定契約又は土地賃貸借契約を「借地契約」といい、借地権者(借主)を借地人といいます。無償が原則の使用貸借契約には借地借家法の適用はありません。試験では、「普通借地契約」「定期借地契約」の存続期間、契約のルールなどについて、細かいところまで出題されます。定期借地権については非常に出題数が多いので細かいところまで確認が必要です。
借地契約に付随した出題として、以下の項目も押さえておきましょう。
- 建物買取請求権
期間満了時に建物を地主に買い取ってもらう権利 - 地代等増減請求権
契約条件によらず不相当になった場合に増額できる権利
※増額しない特約:有効 ※減額しない特約:無効
●借家関係
借地借家法では、借地のほかに建物の賃貸借契約も規定しています。一軒家を借りる場合、建物の一部の間借りであっても、構造や規模から独立性、排他的支配が可能であれば該当します。しかし、イベント開催中に出店を出すためだけに店舗を借りるという場合など一時使用目的の借家契約には、適用されません。
借家契約では、借家契約の存続期間は、当事者の合意によって定まります(最短一年)。更新は、存続期間以外は従前と同条件です。一方、定期借家契約は期間の更新がない建物賃貸借契約で、あらかじめ「公正証書等」の書面で、”更新がない”さらに”期間満了で終了する”ことを説明するとともに、期間満了の前1年~半年の間に終了通知を行う必要があります。
借家契約に付随して理解しておきたい内容は、以下、基本的な内容を覚えておきましょう。
- 造作買取請求権 認めない特約も可能、債務不履行時には権利なし
- 原状回復義務 借家人の義務とする特約が可能
定番問題3. 都市計画法・建築基準法
●都市計画法
街を形成目的別に区分けして、それぞれの地域別にどのように土地を利用するか決めています。また、一定規模以上の開発行為に対し、制限を設けています。どのような土地なら開発行為として(知事による)開発許可が必要なのかを覚えておきましょう。また、許可が出たあとでも「可能なこと」「認められないこと」があることも覚えておく必要があります。
●建築基準法に関する文章題
建築協定、用途制限、高さ制限などは、余力があれば覚えましょう。それよりも優先すべきは建ぺい率・容積率に関する計算問題です。
●【重要1】 建築基準法に関する計算問題
<建ぺい率、建築面積>
- 特定行政庁が指定する数値から「どれだけの緩和」を受けられるか
- 対象地が「角地」か「角地ではない」のか
- セットバックは必要か
- 全体の建築面積は、用途地域ごとに建築面積を算出(加重平均)する
どんなに複雑な設定であっても、基本に忠実であることを忘れずに回答しましょう。
<容積率、延べ面積>
- 前面道路が12m以上の場合→特定行政庁が指定した容積率
- 前面道路が12m未満の場合→特定行政庁が指定した容積率と、前面道路等により制限される容積率(前面道路による制限、特定道路による緩和)のうち小さいほうを適用する
- セットバックが必要か
- 用途地域ごとに延べ面積を算出(加重平均)する
建ぺい率(建築面積)と同様に、基本に忠実であれば正答できます。なお、文章題にて「延べ面積には含まない」面積ついての出題がありますので、覚えておきましょう。
- 自動車用車庫(各階床面積の合計の1/5を限度)
- 地階(居住部分の床面積の1/3を限度)
- 屋上(屋根のない場合など)
- 廊下、階段(屋内/屋外とも ※共同住宅や老人ホームなど)
- 防火のための備蓄倉庫、自家発電設備、宅配ボックスの設置部分、エレベーターの昇降路
定番問題4. 不動産価格
●不動産価格に関する文章題
時事問題は、直近の「公示地価」あるいは「基準地価」の動向を理解すること、前年の「土地白書」も目を通しておくと安心です。その他、公示価格、基準地価、相続税評価、固定資産税評価額は比較して覚えるようにしましょう。どこの省庁が、いつを基準に、いつ発表するか、基本的なことだけで十分です。
鑑定評価は、土地や建物の経済価値をはかる方法についての概要を理解しましょう。そのひとつに取引事例比較がありますが、これは計算問題で必ず出題があります。どのような物件が比較対象として相応しいかの判断もできるようにしておきましょう。
●【重要2】 取引事例比較の計算問題
毎回、計算式はほぼ同じですが、穴埋めする数値の算出方法が異なります。「事情補正」「時点補正」は過去問を参考に演習を繰り返しましょう。注意が必要なのは「標準化補正」「地域要因比較」「個別的要因比較」です。毎回多少表現が異なりますが、言ってる内容は同じで、それぞれが「何を基準にどう補正するのか」に注意しましょう。各項目の注意書きを見逃さないように。
定番問題5. 諸問題
●デューデリジェンス
投資家が不動産を取得する前に行う調査で。物件に関するさまざまな事実や情報の信頼性について分析されます。個人が物件を購入する場合も、購入予定地のこと、家の構造、周辺の環境などについても事前に知っておく必要があります。試験問われるのは以下の通りです。
<地盤>
- 丘陵地 最適 (周辺は軟弱)
- 軟弱地盤、砂質地盤、異種地盤、盛土地 要注意
- 切土と盛土の境界 不同沈下(敷地が不均衡に沈下)
- 鉄筋コンクリート造の場合の地盤調査 ボーリング調査
- 木造戸建住宅の場合の地盤調査 スウェーデン式サウンディング調査や表面波探査法
<地震対策構造>
- 耐震構造 建物の柱、梁なでの強度や粘り強さで耐える
- 免震構造 積層ゴム等で建物が地盤から受ける力を小さくする
- 制振構造 建物に組み込んだ制震装置により地震のエネルギーを吸収する
<建築工法>
- 木造軸組工法(在来工法)
設計の自由度が高く不整形地や狭小地に対応しやすい。施工に熟練した技術を要し業者によりばらつきも。 - 2×4工法(ツーバイフォー)
壁で全体を支えるため間取り変更しにくい。 - プレハブ工法(プレファブリケーション)
床、壁、天井などのパネルを現場で組立てる。部材は工場で生産され品質が安定し、工期も短い。間取り変更やリフォームがしにくい。
<木道住宅の基礎工事>
- 布基礎 壁の下部にのみ基礎
- ベタ基礎 床下全体を鉄筋コンクリートで構成し、液状化被害の軽減
このほか、断熱工法やシックハウス症候群についての出題されることもあります。
●相隣関係
民法は、境界付近で建築工事をするときの隣地の使用、袋地所有者の隣地の通行、排水など関するルール、境界線付近の工作物の築造の制限などを規定しています。一方、土地が法務局に初めて登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた「筆界」といわれる境界があります。筆界を定める際のルールについての出題が非常に多く、確実に得点したい項目です。
【筆界】
登記時に定める ( 所有者同士の合意でも変更不可 )土地の範囲を示す境目
・「余白」は筆界手続きがされていないことを意味する
・筆界特定がされた場合、対象土地(双方)の登記記録に筆界特定がされた旨が記載
・境界確定訴訟が提起され、判決が確定したときは抵触する範囲が失効
【筆界特定の申請】
実地調査や測量を含む様々な調査を行った上、もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにする手続きの流れを確認しておきましょう。
もし、余力があれば、建築の際の隣地との距離や、袋地を所有している場合の権利(囲繞地通行権、隣地使用権)についても覚えておきましょう。
定番問題6. 宅建業
一般消費者が大切な財産(不動産)を失ったり多大な損害を被ったりする例があります。これら損害を防止し、その利益を保護するとともに、宅地・建物が円滑に流通することを目的とするのが宅地建物取引業法です。
●不動産広告
不動産広告をはじめ企業広告の類には、サクラ広告・おとり広告、そして残念なこと掲載事項の違反などもあります。試験ではそういったところに注目した内容が、わりと細かく出題されます。
●建物状況調査
最近、出題頻度が高いです。建物の構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分の劣化・不具合の有無を目視・計測するもので、既存住宅を売買する際に宅建業者は説明義務を負うのが建物現況調査です。「いつどのような目的で行われるのか」「現況調査に必要のないこと」を確認しておきましょう。
●不動産取引の実務
宅地建物取引士が行う主な業務のうち、各種書面の交付のタイミング、書類等による説明の要否を分類できるようにしましょう。
また、宅建業者が依頼を受けて、契約の両当事者の間に入り、両当事者間の制約成立に助力する媒介契約について、契約時の注意点や有効期間など基本的な事項は、2級(AFP)で学習したレベルで十分です。
その他、以下大切な項目を3つ紹介します。
【1】売買契約、クーリングオフ
余力があれば住宅性能表示制度についても理解しておきたいところですが、さらに重要なのはクーリングオフです。ポイントは宅建業者が売主になっている場合に適用されるという点です。問題文をしっかり読んだうえで正誤判定してください。また、クーリングオフ期間の短縮特約や「クーリングオフしない旨」の合意文書があった場合でもクーリングオフは有効です。契約の際の手付金については、「受け渡し額の上限」「解除の時期」を押さえておけば十分です。
《手付の解除》
自分が着手していても相手が未着手なら自分から解約可能
※履行の着手とは、買主による「代金の支払い」、売主による「引渡し+登記」
【2】保証債務
主たる債務者の債務を、別の者が保証した際の保証債務について、抗弁権、求償権、催告などの言葉を理解しておけば十分正答できる内容です。
《要件等》
・書面(電磁的記録)であること
・利息、違約金、損害賠償(債務に従たる内容)にも及ぶ
・連帯保証人 には 催告の抗弁権がない
《抗弁権》
債権者が、債務者に催告することなく保証人に請求してきた場合に「債務者に請求せよ」と拒むことのできる権利
【3】契約不適格責任(旧・瑕疵担保責任)
契約等の成立前からある瑕疵に限らず、後発的な欠陥も含めた責任を指す「契約不履行責任」が施行されています。
・法定責任としての担保責任
・売主に帰責事由がある場合の契約責任
契約不適合がある場合、買主に追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、契約解除権等が認められます
※原則、売主の帰責事由は要求されません
定番問題7. 税金
●余力がある場合に学ぶ税金
- 贈与税
- 不動産取得税
- 登録免許税 ※毎回出題1問
- 印紙税 ※ほぼ毎回出題1問
- 固定資産税、都市計画税
- 住宅ローン控除(所得税・住民税)※2022年税制改正に注意
●【重要3】 不動産収支・不動産所得
うっかりに注意。とくに単位(千円/万円、月額/年額など)を意識して計算しましょう。
コツ1
表を埋める前に、大切な前提条件(容積率/延べ面積、建蔽率/建築面積、建設工事費など)は問題用紙の目立つところにメモしておきましょう。何度も使用することになるので、誤りがあると回答全体に影響が出ます。
▼2021年第1回試験(問題6~8)解答例
・容積率 7(m)×4/10(第二種住居地域)=280%<300%(指定容積率)
・延べ面積 650㎡(敷地)×280%(容積率)=1,820㎡=260㎡/各階
・建築面積 650㎡(敷地)×60%(指定建蔽率)=390㎡
・賃貸面積 1階→390㎡×80%=208㎡、2~7階→390㎡×90%=234㎡
・建設工事費 1,820㎡×250千円=455,000千円
コツ2
事業収支表に書き込む数字(確定値)の根拠を必ずメモしておきましょう。とくに収益を間違えると全て誤りとなるので、丁寧な解答を心がけてください。また、計算式には必ず単位を入れておきましょう。
▼2021年第1回試験(問題6~8)解答例
<収益>
・収入(満室時) 49,608千円
2~7階 234㎡×2.5千円×12月×6階 1階 208㎡×3千円×12月
・収入(満車時)
20台×20千円×12月=4,800千円
<空室等>
・損失 2021年 13,362千円
空室 49,608千円(満室時収入)×25% 空車 4台×20千円×12月
・損失 2022年 480千円
空室 ゼロ 空車 2台×20千円×12月
<費用>
①修繕費 455,000千円 × 0.5% = 2,275千円
②維持管理費 1,820㎡@2千円 = 3,640千円
④損害保険料 455,000千円 × 0.1% = 455千円
⑥減価償却費 14,105千円
建物 455,000千円×80%×0.022
付帯設備 455,000千円×20%×0.067
⑦借入金利子(2022年) 305,760千円(借入金残高)×3%(金利) -9,173千円
コツ3
借入金(元本返済額・借入金利子)についての問いがあります。ほかの数値とは分けて「20●●年利子;■円」「20●●年元本;▲円」の計算過程とともに書いておきましょう。
▼2021年第1回試験(問題6~8)解答例
⑧元本返済額が一定 → 元金均等返済
455,000千円(建設工事費)×70%(借入額)÷( )年=⑧12,740千円 → ( )=25年
455,000千円(建設工事費)×70%(借入額)×( )%=⑦9,555千円 → ( )=3%
●【重要4】 譲渡所得の計算と各種特例の理解
個人が土地や建物を譲渡した場合、他の所得とは合算しない分離課税の譲渡所得です。
<譲渡所得(税額)の計算 ※毎回>
譲渡所得、そして税額を求める必要がある場合には必ず「所得税」か「所得税と住民税の合計税額」かを確認をしましょう。
<居住用不動産の譲渡に関する特例 ※出題多数>
一定の要件を満たす居住用不動産にはいろいろな特例があります。試験では頻出問題です。
<事業用不動産の譲渡に関する特例>
一定の条件に当てはまる事業用の土地・建物を買換えた場合には、譲渡益に対する課税を繰り延べできます。譲渡資産、買替資産に対する要件を押さえておきましょう。
また前記「居住用不動産の特例」と、「空き家に関する特例」とは併用が可能です。対象不動産が異なるので重複適用という考えではありません。(同じ年に適用するだけのことです)
<固定資産の交換の特例に関する計算>
小規模で分散している未利用地や低利用地を有効活用する場合に、交換差益に対する税額が減額になる特例です。以前は、要件が問われていましたが、最近は「特例を受けることができる」前提で計算問題が出題されます。よくある出題は、借地権の設定されている土地について、地主(底地の所有者と借主(借地権者)が借地契約を解消し、更地を分割して所有するという設定です。「現状の各権利の評価額」「分割後の取得割合の設定」ができれば容易に回答できます。【詳しい解答解説】
定番問題8. 有効活用
所有する不動産を利用して収益を上げる方法のうち、以下の2つについて出題があります。
●【重要5】 等価交換方式(立体買い替え特例)
譲渡資産、買替資産それぞれに対する要件
・譲渡資産 所有期間、用途制限なし
・買替資産 地上3階建て以上、耐火建築または準防火構造、1/2以上が居住用
計算問題は、出題回によって難易度が大きく異なります。2019年第1回43-45、2020年第2回43-45を手早く解けるようになるのが理想です。
ステップ1
大切な前提条件を算出する。
▼2020年第2回(問題43)解答例
・基準容積率 8m×6/10=480% < 500%
・延床面積 800㎡×480%(容積率)=3,840㎡=480㎡/階
・専有面積
[1F]480㎡×70%=336㎡
[2-5F]480㎡×75%=360㎡
[6-8F]480㎡×80%=384㎡
ステップ2
各人、各社の出資割合を条件に従って丁寧に計算する。すべての過程を分かりやすく残しておく。
ステップ3
効用積数を算出する(各階の価値を重みづけする)。さらに、効用積数合計を収支割合に応じて割り振る。以降、取得階数をもとにパズルを解けば完了です。
●【重要6】 収益還元法(DCF法)
出題内容は毎回ほぼ同じです。表の穴埋めを簡単に済ませることができます。また、専門用語も覚えておきましょう。
収益還元法に関する文章題
《直接還元法(単年度)》
一定期間の純収益を還元利回り(期待利回り)で還元する
《DCF法(保有期間中) 》
時間経過による価値変動を現在価値に割り引いて合計する
・純収益が一定である場合 純収益×複利年金現価率+転売価格×複利現価率
・純収益が一定でない場合 (各年純収益×各年複利現価率)の合計+転売価格×複利現価率
収益還元法に関する計算問題
早く解くコツ1
満室時総収益の計算は丁寧に。計算過程、各数値の単位を書いておくこと。
総収益は「満室時総収益×(1―空室損失)」で計算
早く解くコツ2
総収益―総費用=純収益を計算後、複利現価率を掛けたのが「純収益の現在価値」
※年ごとに計算するよりも、項目ごとに計算したほうが早い
早く解くコツ3
最下段合計が、一つ目の答えです。その次の(問題11)は、
各年の純収益合計 + 6年目の純収益(=5年目)の現在価値 ÷ 転売時還元利回り
で計算したものが答えです。
※上式の「÷転売時間現利回り」と、下記解説「×複利現価率」は同じです。
余力のある方、確実に合格するために
<上記、定番問題より>
・登記関連 競売
・建築基準法 建築協定、用途制限、高さ制限
・売買契約 住宅性能表示
・税金 贈与税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、固定資産税、都市計画税、ローン控除
<不動産投資関連>
・REIT型
・SPC型
<老後の暮らし>
・信託受益権 ※ライフプランや相続での出題も多い
・家族信託 ※相続での出題も多い
<土地取引法>
・注視区域
自衛隊の基地や原子力発電所など重要インフラの周囲1km程度を指定。
外国資本が基地周辺や国境離島などの土地を買収し、電波妨害や盗聴に使うのを防ぐ狙い。
・特別注視区域
氏名や利用目的を事前に届け出させる。
<宅地造成規制法>
都道府県知事の許可が必要な宅地造成工事
・切土 : 2m超のガケが生じる
・盛土 : 1m超のガケが生じる
・切土/盛土 : 盛土に1m以下のガケ+盛土と切土を合わせて2m超のガケが生じる
・面積 : 切土または盛土の面積が500㎡を超える
※宅地以外は対象外
※都市計画法での開発許可があれば宅地造成規制法での許可は不要
総括
2019年以降の過去問題集を購入し、「文章題の理解」と「素早く計算する練習」が大切です。学習した内容が実務できる機会は少ないですが、個人的に「住宅購入」「ご近所トラブル」などで役立ちます。不動産価格は日本の景気のバロメータとも言えるので知っていて損はありません。
■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
金融|不動産|ライフ|リスク|タックス|相続
■試験対策(2024年第2回試験向け)
最新版テキスト(購入)|テキスト訂正事項|受験対策講座・質問会(受講)
■CFP®試験・不動産運用について
・不動産運用に合格したいあなたへ
・試験分析/不動産 2021年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2022年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2023年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2024年 第1回