2023年11月12日(日)に、CFP®試験・第1日程が終了しました。2課目め、不動産運用設計について回答してみたので、結果・感想をお伝えします。
目次
総評
全体的な構成は従来通りでした。冒頭の収支計算や、終盤の効用積数に関する出題は、回答に時間のかかるタイプの出題でしたが、過去問で繰り返し演習をしていた方にとっては難なく回答できる水準だったと推察します。
不動産収支(事業収支表)に関しては、再び面倒な出題でした。
どのように計算するのか、その過程を理解することは大切ですが、それが必ずしも事務に役立つかは疑問を呈したいところです。この出題は、今回も回答を後回しにする必要がありました。
では、出題内容を振り返ります。※各段落の末尾は(正答したい問数/全出題数)です。
問1|住宅の建築・購入に関する注意点
地盤[問題1]、耐震性[問題2]は従来通りの出題でした。一方で、住宅性能表示[問題3]、住宅瑕疵担保履行法[問題4]については、細かいルールまで理解しておく必要がありました。(2問/全4問)
問2|事業収支表(事務所ビル建設による土地活用)
定番の出題です。最近は、事業収支表がどのような過程で計算されるのか、根本を問うものであり「算数の能力」が問われています。今回は、ややこしい計算・算数の能力が求められる出題でした。[問題5]や[問題7]は回答に相当な時間が必要でしたが、[問題6]は借入金の返済金額の計算方法を理解していれば即答できる内容でした。
不動産所得の必要経費[問題8]は定番の出題ですので正答しておきたい内容です。(2問/全4問)
問3|収益性からみた不動産価格
これも定番の出題内容です。総収益[問題9]、収益価格[問題10]の計算は、四捨五入の条件をしっかり確認しておくことが大切でした。また収益還元法の知識[問題11]についても、従来レベルの難易度でした。(3問/全3問)
問4|不動産の鑑定評価・公的価格
最近は難易度が下がりつつある定番の問題です。更地価格の計算[問題12]は、前回よりは難易度が上がりましたが、ひっかけ要素・難読な文章の無い出題でした。積算価格の算出方法通りに解答を進めれば正解へと辿り着きます。条件が多いため、どれだけ過去問に取り組んだかで回答スピードが違ったでしょう。
収益に基づく土地価格[問題13]については、四捨五入の条件を確認していれば、容易に正答できる内容でした。
鑑定評価に与える要因[問題14]、公的価格[問題15]に関しても、従来から多く出題があり、多く得点しておきたい水準の出題でした。(3問/全4問)
問5|宅地建物取引業法
不動産広告[問題16]、媒介契約[問題17]、建物状況調査[18]は必ず正答しておきたいところです。一方、売買契約[問題19]については”民法の規定”というところがポイントでした。やや悪意のある出題だったようにも感じます。(3問/全4問)
問6|建物賃貸借、権利義務
建物・土地の賃貸借に関する出題については、登場人物(名前)と権利関係(買主、売主、貸主、借主など)を明確にしておくことが大切です。
賃貸物件の譲渡[問題20]、賃貸借契約[問題22]に関しては必ず正答しておきたい内容です。
区分所有物件の譲渡[問題21]については、条件から読み取れる情報が少なく、選択肢の中には不可解なものもありました。正答できなくても仕方ありません。
競売[問題23]に関しては、かなり細かいところもまで理解が必要でした。(2問/全4問)
問7|相隣関係
土地の共有[問題24]、特定筆界[問題25]に関しては、かなり細かい知識が求められました。そして、2023年4月に施行された管理不全土地管理制度[問題27]は初の出題でしたので、正答できないとしても、民法上の相隣関係[問題26]だけでも正答しておきたい内容です。(2問/全4問)
問8|建築基準法、都市計画法
都市計画道路(予定地)、セットバックに関する知識が必要な出題でした。
容積率(延べ面積)[問題28]、建蔽率(敷地面積)[問題29]、都市計画道路予定地[問題31]については、必ず正答しておきたい水準の出題でした。
(3問/全4問)
問9|不動産の取得時、保有時の税金
登録免許税[問題32]や印紙税[問題34]については易しい出題でした。
不動産取得税[問題33]、固定資産税[問題35]に関しては、問題文(条件)を的確に判断する必要がありました。(2問/全4問)
問10|譲渡時の税金(所得税における各種特例)
久しぶりに、譲渡所得に関する出題が多くなりました。
譲渡益が生じた場合の買換え特例[問題36]はかなり詳細な知識が必要でした。
3,000万円の特別控除[問題37]、譲渡損失の特例[問題38-39]については基本的な知識で乗り切れる内容でした。【不動産に係る譲渡所得】(3問/全4問)
問題11|不動産の有効活用(固定資産の交換特例)
各人の取得面積[問題40]は算数の計算レベルで容易に回答できると思います。また、固定資産の交換の特例[問題41]についても従来通りの出題でした。
一方、旧法に基づく借地借家[問題42]についてはかなりの詳細な知識が必要であり、保証金の経済的利益[問題43]に関しても、高いレベルの知識が必要でした。(2問/全4問)
問題12|不動産の有効活用(等価交換)
定番の計算問題ですが、今回も計算回数の多い設定でした[問題45]~[問題47]。ただし、何度も過去問を演習していればすぐに正答できたと思います。立体買換え特例[問題48]は、細かいところまで知識が必要でした。(1問/全4問)
問題13|不動産関連法、関連情報
地価動向[問題49][問題50]については、実務として概要だけを理解しておけば十分で、各地域・各種不動産ごとに理解しておく必要はないと思っています。(1問/全2問)
さて合格ラインは
これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が29問/全50問でした。
【追記】2023年12月20日(水)に合格ラインが公表されました。30問/全50問とのことで、予想よりもやや易しかったということですね。従来と類似した出題が多かった分、過去問への取り組みの度合が重要であったと思います。
なお、今回の試験(2023年第2回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2023年12月27日(水)に発売予定です。
■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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・不動産運用に合格したいあなたへ
・試験分析/不動産 2021年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2022年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2023年 第1回 第2回
・試験分析/不動産 2024年 第1回