2024年第2回試験の分析(CFP®不動産)

 11月10日(日)に、CFP®試験・2024年第2回試験の第1日程が終了しました。不動産運用設計の出題について私が回答した結果、そして感想をお伝えします。

総評

 全体的な構成は概ね従来通りでした。冒頭の収支計算では、出題の趣旨を疑問視すべく内容が含まれたりしましたが、過去問への取り組みが十分であれば、回避できたはずです。

 ほかにも鑑定評価、建築基準法の計算など、基本に忠実に回答できる出題があった一方で、定期借地権に関する計算問題や、不動産関連情報には難題が多くありました。

 それでは、出題内容を振り返ります。※各段落の末尾は(正答したい問数/全出題数)です。

問1|住宅の建築・購入に関する留意点

 品確法と瑕疵担保履行法[問題1]、建物状況調査[問題2]、住宅性能表示制度[問題3]は、実務においても重要な内容なので、知識を深めておきたいところです。(2問/全3問)

問2|事業収支表(事務所ビル建設による土地活用)

 定番の出題です。事業収支表がどのような過程で計算されるのか、ひたすら単純な計算が必要な内容でした[問題4-6]。回答には相当な時間を要しますが、借入金の返済方法および金利[問題5]だけは短時間で回答できます。過去問への取り組みが十分であれば容易に判断できたと思います。

 不動産所得の必要経費[問題7]は、必ず正答しておきたい内容です。(2問/全4問)

問3|収益性からみた不動産価格

 これも定番の出題です。総収益[問題8]、収益価格[問題9]の計算は、問2に比べて格段に速答できる内容です。また、鑑定評価に関する知識[問題10,11]についても、細かい知識を必要とせず、過去問レベルの知識で十分対応できる内容でした。大きな得点源です。(3問/全4問)

問4|不動産の鑑定評価

 取引事例、再調達原価、および積算価格[問題12-14]は、条件に従って丁寧に理解しておく必要があります。算定方法の条件設定にややこしい事項があるので回答は後回しにして、落ち着いてから対応すれば十分に正答できる内容でした。

 価格の種類[問題15]はたびたび出題されるので、余裕があれば覚えておきたい内容です。(2問/全4問)

問5|宅地建物取引業法

 不動産広告[問題16]、定期建物賃貸借契約[問題17]、手付金[問題18]、クーリングオフ制度[問題19]について、いずれも基本事項を問う内容でした。正誤の判断に迷う選択肢もありましたが、「明らかに正しい」「明らかに誤り」の判断ができる項目がありました。(3問/全4問)

問6|相隣関係

 相隣関係[問題20]、筆界特定制度[問題21]については必須知識です。土地の共有[問題22]、所有者不明土地管理制度[問題23]は、これまで殆ど出題がなく、今後の出題に備えて理解しておきたい内容です。(2問/全4問)

問7|抵当権

 久しぶりに登記事項証明書[問題24]の出題がありました。基本的な知識なので理解しておきましょう。その他、所有権移転登記[問題25]、区分所有[問題26]、根抵当権[問題27]、競売[問題28]については、基本的な知識で十分に対応できる内容でした。(4問/全5問)

問8|建築基準法、土地収用法

 特定道路を加味した容積率[問題29]、建蔽率[問題30]に関し、出題の要件に記載のない事柄まで覚えておく必要がありました。

 また、土地収用法[問題31]については、久しぶりの出題でしたので、覚えていないことが多かったと思います。これも、過去問への取り組み次第で正否が分かれる内容でした。(2問/全3問)

問9|不動産の取得時、保有時の税金

 登録免許税[問題32]に関して覚える必要があるのか?と疑問がありますが、不動産取得税[問題33]、固定資産税[問題34]、印紙税[問題35]は理解しておきたいところです。(3問/全4問)

問10|譲渡時の税金(所得税における各種特例)

 共有不動産における譲渡所得の特例の適用方法[問題37]、空き家にかかる譲渡所得の特例[問題39]は、細かな条件を理解しておく必要がありました。それ以外、税金の計算過程や特例の適用要件など、確実に理解しておきましょう。(2問/全4問)

問題11|不動産の有効活用(交換の特例)

 有効活用に伴う交換される地積[問題40]、借地権の価格[問題41]、固定資産の交換の特例[問題42]はいずれも、過去問への取り組みが十分であれば対応できる内容でした。条件設定がややこしい部分もありましたが、「明らかな誤り」「計算のポイント」によって十分に対応できました(2問/全3問)

問題12|不動産の有効活用(更地)

 借地権に関する出題は毎回多いので、正確に、理解しておけば大きな得点源です。建物譲渡特約付借地権[問題43]、土地信託方式[問題44]は、いずれも基本的な知識を問うものでした。(2問/全2問)

問題13|不動産の有効活用(等価交換)

 定番の計算問題[問題45-47]ですが、今回も計算回数の多い設定でした。条件設定によっては、即答できるケース、回答に時間のかかるケースがあります。今回は、”時間のかかるケース”での出題でした。そして、立体買換え特例[問題48]は、基本知識で対応できる内容でした。(1問/全4問)

問題14|不動産関連報

 不動産市場の動向[問題49,50]は、実務として概要だけを理解しておけば十分で、各地域・各種不動産ごとに理解しておく必要はないと思っています。(0問/全2問)

合格ラインは

 これまでと同水準あるいは高いでしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が30問/全50問でした。(※下記、筆者メモを参考に)

【筆者メモ】

  • 回答は後回し→10題
  • 従来より難題→8題

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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。