2024年第2回試験の分析(CFP®金融)

 11月10日(日)に、CFP®試験・2024年第2回試験の第1日程が終了しました。金融資産運用設計の出題について私が回答した結果、そして試験全般の感想をお伝えします。

総括

 これまでと同様、専門的な知識や高度な計算能力が必要でした。一部、回答に時間を要する出題がありましたが、それらは気にせず、後回しにすることが大切です。

 では、以下に出題内容を振り返ります。※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/出題数)です。

問1|各種経済指標

 国際収支の動向[問題2]については長期的な貿易収支等の動向の理解が必要でしたが、他の出題、GDP[問題1]、物価指数[問題3]、日銀短観[問題4]は基本的な知識で十分対応できる内容でした。(3問/全4問)

問2|経済や金融市場の動向

 一般会計予算(基礎的財政収支)の計算[問題5]は必ず理解しておきましょう。内閣府や日銀の資料の穴埋め[問題6,7]は、直近の景気・経済状況の概要を理解していれば即答できるレベルでした。(2問/3問)

問3|貯蓄型・積立型の金融商品

 定期預金の金利計算[問題8]、各種金融商品の知識[問題9-10]です。従来と変わらぬ出題ですので、できるだけ得点しておきたい内容です。個別の商品について細かい商品理解が必要でしたので、そこに注力するよりは他の分野での得点のほうが有効です。(2問/3問)

問4|財形貯蓄と確定拠出年金

 従来通りの出題です。試験対策だけでなく、実務・生活面でも大切な内容です。少々細かい知識(拠出額や期間など)が必要ですが、できれば覚えておきたい内容です。(1問/2問)

問5|株式投資(投資尺度・財務データ)

 <計算に際しての留意点>に注意しながら、どのように計算するのかを確認していけば難しい出題ではありません。しかし、必要な情報をどのように整理して、回答まで導くかには相当な時間が必要なので、焦らず、回答は後回しにしたほうが良いでしょう。ここに注力する時間は、最後でないと時間が足りません。(0問/2問)

問6|株式投資(税務、取引)

 譲渡損益・配当利子[問題15]についての税額計算、株式の仕組み[問題16]は難易度が高いものでした。特定口座[問題17]や信用取引[問題18]は必須の知識ですので、必ず得点しておきたいところです。(2問/4問)

問7|債券投資

 前回(2024年第1回)よりも出題内容が分かりやすくなりました。計算方法に関する知識、何を問うものなのかを、いかに早く判断できるかを問うものでした。

 スポットレートやフォワードレート[問題19,20]、デュレーション[問題21]の計算は、回答時間に余裕がある場合に落ち着いて取り組むことをオススメします。

 物価連動国債の知識[問題22]はやや専門的な知識が必要でした。一方、特定公社債[問題23]、デフォルト[問題24]については、必ず正答しておきたい内容でした。(3問/6問)

問8|投資信託

 普通分配金[問題25]、【解約時の課税[問題26]】、【トータルリターン[問題27]】は定番の出題です。過去問への取り組みが十分であれば容易に対応できる水準でしたが、正確に問題文(設定)を確認しておく必要がありました。

 乗換え勧誘行為[問題28]、NISAの受入れ対象[問題29]、インデックス型ファンドの知識[問題30]については、細かな知識が必要な選択肢もありましたが、消去法で正答できる内容だったと思います。(4問/6問)

問9|ポートフォリオ理論

 期待収益率・組入れ比率[問題31]は、計算方法を理解するのに相当な時間が必要だったかと思います。期待収益率・標準偏差[問題32]は従来通りでしたが、こちらも回答に時間がかかる内容でした。

 時間加重収益率[問題33]、CAPM[問題34]、行動ファイナンス[問題35]、効率的フロンティア[問題36]についても従来通りでした。基本的な知識、計算スキルが必要である一方、不得意とされる方が多いので、正答すれば合格に近づく分野です。(3問/6問)

問10|外貨建て商品

 外貨建て債券[問題37]、外貨建て投資信託[問題38]、為替予約[問題39]は、回答時間に余裕があれば回答しましょう。出題の内容を理解するのに、相当な時間がかかるため、後回しです。

 外貨定期預金[問題40]については、できれば正答しておきたい水準でした。課税体系[問題41]に関しては初めての出題形式でしたが、外貨預金や外貨建て保険に関する出題は容易な出題が多いため、こちらも正答しておきたいところです。(2問/5問)

問11|デリバティブ商品

 オプションの戦略[問題42]は従来よりも正確な知識が求められ、判断に迷うことがあったかも知れません。2項過程[問題43]については、前回(2024年第1回)と同様、仮定のケース(100円の株価)と、実際に購入するオプション(101円のオプション)との乖離を正確に反映できたかを問う出題でした。

 先物ヘッジ[問題44]、先物理論価格[問題45]、FX[問題46]は正答必須です。(4問/5問)

問12|制度・法規

 金融資産の課税と健康保険料[問題47]は、ほぼ定番です。判断に迷う選択肢もあり、正確な税金知識が必要でした。

 金融サービス提供法[問題48]、暗号資産の課税[問題49]、金融ADR[問題50]に関しても、出題頻度の高い内容であり、実務でも重要な情報ですから、正確に理解しておきましょう(3問/4問)

さて合格ラインは

 これまでより、若干高いと予想します。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が29問/全50問でした。このくらいの水準だと予想します。(※下記、筆者メモを参考に)

【筆者メモ】

  • 回答は後回し→12題
  • 従来より難題→5題

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
 金融不動産ライフリスクタックス相続

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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。