CFP®試験(ライフプラン)に必ず合格したいあなたへ

 人生の3大資金、社会保険(年金・健康保険・介護保険)、労働保険(労災保険・雇用保険)、各種ローンに関する知識や、FP相談業務に関することなど、出題範囲が広いのが特徴です。人生設計において、どれもが役に立つ内容です。知っているのと知らないのとでは、格段に資金繰りに差が生じます。

 出題範囲が広く、毎年のように法律が改正されるため、覚えなおす必要も出てきます。ですから早めに合格しておきたい課目です。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
 金融不動産ライフリスクタックス相続

■試験対策(2024年第2回試験向け)
 最新版テキスト(購入)テキスト訂正事項受験対策講座・質問会(受講)

知識を問う出題が多い

 計算問題よりも知識を問うことに重点が置かれています。多くは過去にも似た問題が出題されています。資料の読み取りや、図式の理解は、過去問で何度も練習していれば簡単に正答できる内容です。出題が多岐にわたるので、定番問題からクリアしましょう。

  • コンプライアンス CFP®認定者の行動規範、著作権、個人情報保護法
  • 教育資金 奨学金、教育ローン
  • 老後資金 高齢者住宅、成年後見制度
  • 雇用保険 特定理由離職者、教育訓練給付
  • 健康保険 被扶養者、任意継続被保険者、給付の種類
  • 介護保険 利用者負担割合
  • 労災保険 給付の種類
  • 雇用保険 基本手当の受給要件、雇用継続給付の内容
  • 公的年金 保険料免除、被保険者、繰上げ・繰下げ
  • 企業年金 iDeCo、小規模企業共済、国民年金基金

時事ネタは得意なものを

 ひとり親に関すること、生活困窮者や高齢者を取り巻く制度、育児や介護に関するしくみなど、時事ネタが多いです。全てを覚えることは効率の良い学習方法とは言えないので、得意な分野を決めて、細かいところまで理解することが得点につながるでしょう。

  • 日常生活自立支援事業
  • 年金生活者支援給付金
  • 労働基準法(年次有給休暇)
  • 育児・介護休業法
  • 中小企業倒産防止共済制度
  • 死後事務委任契約
  • 成年後見制度
  • 不動産担保型資金貸付制度
  • 生活困窮者への支援制度
  • ひとり親家庭に対する制度

定番の計算問題

 いずれも回答に時間のかかるものが多く、文章題や時事問題を早々に終えて計算問題に時間をかけましょう。

■キャッシュフロー表の穴埋め

 必要な情報がどこに書かれているか、すぐにわかるようマークする習慣をつけましょう。

■ローンの返済額

 各種ローン(リボ払い、自動車の残価設定ローン)の返済額の計算のほか、総量規制に関する知識を問われることがあります。

■6つの係数 

 時系列の図を描けば、どこで、どの係数を使用するか一目瞭然です。自分なりの図を早く描けるよう練習しておきましょう。 詳しい解説はこちら

■老後資金

 退職金の課税(退職所得)について必ず出題があります。

■住宅資金

 購入可能物件の価格や繰上げ返済の効果など、ややこしい出題が多いです。元金均等返済なのか、元利均等返済なのかを必ず確認しましょう。過去問での演習を忘れずにお願いします。

■健康保険 

 保険料、標準報酬月額、傷病手当金、自己負担限度額(高額療養費の多数該当・世帯合算を含む)が必須項目です。 詳しい解説はこちら

■雇用保険

 基本手当日額、高年齢基本継続給付金を算出する際の「賃金」について理解を深めましょう。

■公的年金

 老齢年金、障害年金、遺族年金の年金受給額の計算のほか、併給調整のしくみについて確認が必要です。在職老齢年金と高年齢雇用継続給付や基本手当が「いつ」「どの程度」調整されるかの出題も要チェックです。

■その他

 国民年金基金の共済金、中小企業の資金繰り表、公正証書作成手数料が定番の計算問題です。いずれも易しい出題ですので、過去問で確認しておきましょう。

あなたに合った回答方法、学習方法

[別記事]資格試験を勝ち抜くコツを作成しました。

必須問題1. 6つの係数

 最初の出題は、FP業務に関することです。FPの行動規範、著作権、個人情報保護についての理解が問われます。必ず正答しましょう。

 提案書関連の出題は2つあります。前記「キャッシュフロー表の穴埋め」「6つの係数」です。どのように回答を進めたらよいか、参考にしてください。【過去の”6つの係数”解説

▼キャッシュフロー表

キャッシュフロー表(CFPライフプラン)
2021年第2回(問題7)キャッシュフロー表の解答例

必須問題2. 各種ローンの返済額

 総量規制に関する知識、ローンの返済額を求める計算問題があります。返済方法について正しく理解していれば難しい出題ではありません(例えば、残価設定ローンやリボルビング払い)。穴埋め問題であれば、かなり易しい内容だといえます。いずれも、過去問で練習しておきましょう。

▼残価設定型自動車ローン

残価設定(CFPライフプラン)解答例
2018年第1回(問題13)解答例;残価設定型自動車ローン

▼リボルビング払い

リボルビング払い(CFPライフプラン)解答例
2021年第2回(問題15)解答例;リボルビング払い

必須問題3. 老後資金

 老後資金についての出題が増えています。退職所得の計算は以前から定番ですが、高齢者住宅、資金の貸付、自立支援事業、成年後見制度、信託制度などに関する知識など時事ネタを反映した出題が多いです。

■サービス付き高齢者向け住宅

 とくに高齢者住宅については、サービス付き高齢者向け住宅の要件を必ず覚えておきましょう。また、他の住宅との違いについても理解しておくと良いでしょう。

  • 登録制度(有料老人ホームも可)
  • 25㎡以上(共同利用部分の広さが十分なら18㎡)
  • バリアフリーが義務
  • サービスの提供
    ※安否確認、生活相談は義務
    ※介護、医療、生活支援は登録要件ではない
  • 前払家賃、支援サービスの対価等の保全措置
  • 敷金、家賃、サービス対価以外の金銭徴収不可

■日常生活自立支援事業の対象者(両方に該当するひと)

 自立支援事業については、対象者の要件や、成年後見制度との違いを理解しておく必要があります。あまり細かいことまで問われることはありません。

・判断能力が不十分な人
 認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な人。

・日常生活自立支援事業の契約の内容について
 判断し得る能力を有していると認められる人。(本人が契約)

日常生活自立支援事業(CFPライフプラン)
日常生活自立支援事業(CFPライフプラン)

必須問題4. 住宅資金

 フラット35については借入要件や仕組みを理解が必須です。計算問題は必須で、「6つの係数を活用した出題」「購入可能物件の金額」「繰り上げ返済を行った効果」などが問われます。

 繰上げ返済に関する出題は、返済額軽減型で繰上げ返済したあとの返済額を求める出題や、繰上げ返済の効果(減少した返済額)を求める出題があります。いずれも、元利均等返済か元金均等返済かを確認したうえで、図を描く練習から始めましょう。

また6つの係数うち、主に使うのは以下の2つです。いずれも元利金です。
債務(残債)を求めるには、年金現価係数
返済額を求めるには、資本回収係数

 参考までに、2021年第2回は「購入可能物件の金額」「元利均等返済と元金均等返済の比較」について、ややこしい出題でしたので、解答例をご紹介します。

必須問題5. 健康保険

 健康保険(国民健康保険、健康保険)では、適用要件、保険料の算出方法、給付の種類(とくに高額療養費や傷病手当金)、育児関連、退職者の制度など、多くの知識や計算問題の出題があります。周辺知識を含め健康保険の知識を深めることは、ライフプラン合格への近道とも言えます

■保険料

 家族構成(年齢や年金受給者)に注意し、対象家族となるかの判定が重要です。問題文には必要な項目が並んでいるので、落ち着いて確認しましょう。

■高額療養費

 世帯合算や多数該当についての出題が多いです。2021年第1回試験では初めて、消費税を含めた支払額が問われました。【詳しい過去の解説】が必要な方は、どうぞ。

■育児休業

 育児に関して、健康保険のほかに「どのような給付」が「いつからいつまで」「誰に」給付されるのか、まとめて理解しておきましょう。毎年のように仕組みが変更になるので、常に最新の情報を確認しなければなりません。

育児関連の給付一覧(CFPライフプラン)
育児関連の給付一覧(CFPライフプラン)

■傷病手当金

 受給額を算定する際の期間について「支給開始月以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額」を誤解される方が多いので、間違えないようにしましょう。

 最近は、退職後の給付についても出題が多いので、出産手当金と比較して覚えましょう。

傷病手当金(CFPライフプラン)
2020年第2回(問題31)解答例;傷病手当金

必須問題6. 雇用保険

 労働者が失業した場合、そして雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことで、労働者の生活や雇用の安定を図ったり、求職活動を容易にするなど、職業の安定、雇用機会の増大、能力の開発・向上が目的です。

 試験では失業・休業に関することを中心に、その他の給付について広範囲な知識が必要です。なかでも、育児や介護による休業に関する出題が細かい部分まで問われます。基本手当(求職者給付)については基本手当日額を計算する際の”賃金の範囲”、教育訓練給付については”基本事項”を確認しておきましょう。

■高年齢雇用継続給付

 給付金の計算が必須です。計算式は与えられますので、あてはめる数値・計算式を正しく選択できれば十分です。最後に、計算結果が上限を超えていないか確認してください。

高年齢雇用継続給付(CFPライフプラン)
高年齢雇用継続給付(CFPライフプラン)

■育児休業給付(雇用保険)・育児休業(介護育児休業法)

 育児休業中に申請することでもらえる給付金です。 休業中の労働者は仕事に入れず、かといって雇用をしている事業主も休業中の労働者に今までどおりの給料を支払うわけにもいきません。当該労働者に国が給付金を支給し、生活に困らないようにするための制度です。

 給付水準(割合や日数、年齢)や対象者をしっかり理解しておきましょう。

育児休業(CFPライフプラン)
育児休業(CFPライフプラン)

■介護休業給付(雇用保険)・介護休業(介護育児休業法)

 家族の介護のために仕事を休業する際、賃金の67%が保証される制度です。介護と仕事の両立を支援する制度と言ます。介護休業は法律で認められた権利で、条件を満たした場合に最大93日まで、最大3回までの分割で支給されます。

 育児休業と同様に、数値(回数や日数)のほか、対象となる家族についても正確に覚えておく必要があります。

介護休業(CFPライフプラン)
介護休業(CFPライフプラン)

必須問題7. 公的年金

 出題は老齢給付の受給額に関するものが中心ですが、他の給付についても出題があるので、受給額の計算ができるようにしておきましょう。また、受給要件、併給に関する知識も必須事項です。全体で10問を超える出題がありますので、合否を分ける分野です。

■老齢給付

 給付の全体像を正確に理解することから始めましょう。繰上げや繰下げ、付加年金、加給年金額・振替加算、在職老齢年金について、知識だけでなく計算問題にも対応できるように演習が必要です。

老齢給付(CFPライフプラン
老齢給付(CFPライフプラン)

 簡単な図を描きながら回答を進めれば正解できるはずです。最近では経過的加算を考慮した出題が多いで。また、配偶者がいる場合の加給年金額・振替加算の対象になるか否か、何度も確認をお願いします。

 在職老齢年金についての計算問題は少なくなりました。「対象となる年金」「雇用保険(高年齢雇用継続給付、求職者給付)との併給」ルールの確認をお願いします。

在職老齢年金(CFPライフプラン)
在職老齢年金(CFPライフプラン)

■障害給付

 老齢給付と同様、障害給付の全体像を確認しましょう。障害給付のポイントは「子の加算」と「配偶者加給年金」です。それぞれの要件を正確に覚えましょう。

障害給付(CFPライフプラン)
障害給付(CFPライフプラン)

■遺族給付

 遺族基礎年金を軸にしていますが、制度により受給権者(遺族)の範囲が異なるので、誰がいつから、どのような給付を受けることができるのか、細かい要件まで確認しましょう。

遺族給付(CFPライフプラン)
遺族給付(CFPライフプラン)

■併給調整

 公的年金は、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったとき、いずれか1つの年金を選択する必要があります。基礎年金に厚生年金が上乗せして支払われるため、同じ支給事由で受けとれる「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と障害厚生年金」「遺族基礎年金と遺族厚生年金」などは、1つの年金とみなされ、併せて受給できます。

 また、65歳以後は、特例的に支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられるケースがあります。

年金の併給調整(CFPライフプラン)
年金の併給調整(CFPライフプラン)

必須問題8. 企業年金・個人年金

 企業年金は、あらかじめ定められた給付額を賄うのに必要な掛金を年金数理により算出して拠出する制度です。iDeCoについては、加入者の要件、拠出額などの基本事項が問われたり、確定給付年金/国民年金基金や小規模企業共済の共済金の総額等が出題されます。簡単な出題ですので、必ず得点しておきたいところです。数問、演習しておけば十分です。

企業年金の拠出額(CFPライフプラン)
企業年金の拠出額(CFPライフプラン)

余力のある方が”確実に合格する”ために

■教育資金

 奨学金について、貸与型奨学金の第1種と第2種の違いや返済方法、給付型奨学金の要件についての知識が必要です。教育ローンについては、教育一般貸付の基本事項だけで十分です。

奨学金の返済方法の変更(CFPライフプラン)
奨学金の返済方法の変更(CFPライフプラン)

■中小企業の資金計画

 決算書に関して、キャッシュフロー表の理解が必要です。例えば、売掛金・受取手形による回収、買掛金・支払手形による支払を行ったときの現金の流れを理解できているかを問われます。難しい出題ではありません。
 小規模企業共済や中小企業退職金共済制度、中小企業倒産防止共済に関する知識が問われますが、こちらはかなり余力のある人だけ対応しましょう。別のところで確実に得点しましょう。

中小企業の決算書(CFPライフプラン)
中小企業の決算書(CFPライフプラン)

■労働関連の法律

 労働基準法に規定のある年次有給休暇、労働契約法、改正パートタイム労働法に関する知識が必要です。過去問を参考に出題内容を確認しましょう。例えば、
・年次有給休暇は「〇時間」「〇日」などの数字
・その他の法律は「〇〇が可能」「〇〇が不可」
がキーワードです。

労働基準法(CFPライフプラン)
労働基準法(CFPライフプラン)

■生活の困窮対策など

これまでに下記の制度についての出題がありました。毎回の出題ではありません。

<生活の困窮対策>
・生活福祉資金貸付制度・生活困窮者自立支援制度
・年金生活者支援給付金・障害者総合支援法
<ひとり親家庭>
・児童手当法と児童扶養手当法
・ひとり親家庭の医療費助成
・母子父子寡婦福祉資金貸付金

総括

 過去問題集を購入し演習するのはもちろんのこと、あらゆる出題(特に計算問題)に対して、自分なりの解答方法を編み出すことが先決です。時間のかかる出題、まったく見当のつかない文章題など、受験者を混乱させる要素が多いので、自分の解答ペースを考えておきましょう。

 出題範囲が広いので、山を張っても当たらないのが関の山だと思います。
・基本事項を正確に覚える
・計算問題は過去の出題を参考に、早く正確に回答できるようにする
・6つの係数を使った問題は後回し

 社会保険や3大資金計画に関する知識は、日常生活に役立つ内容ですので、試験が終わっても覚えておくようにしましょう。知っているのと、知らないのとでは、市役所などで質問するレベルが大きく変わります。正確に、自分を取り巻く社会保険、社会保障を知っておきたいものです。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
 金融不動産ライフリスクタックス相続

■試験対策(2024年第2回試験向け)
 最新版テキスト(購入)テキスト訂正事項受験対策講座・質問会(受講)

■CFP®試験・ライフプランについて
 ・ライフ/リタイアメントプランに合格したいあなたへ
 ・試験分析/ライフリタイア 2021年 第1回 第2回
 ・試験分析/ライフリタイア 2022年 第1回 第2回
 ・試験分析/ライフリタイア 2023年 第1回 第2回
 ・試験分析/ライフリタイア 2024年 第1回

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。