2023年第2回試験の分析(CFP®金融)

 11月12日(日)に、CFP®試験・2023年第2回試験の第1日程が終了しました。まず、金融資産運用設計に関して、私が回答した結果、感想をお知らせします。

総括

 これまでと同様に、専門的な知識や行動な計算能力が求められています。しかし、前回(2023年第1回試験)のような”出題の趣旨が分からない”出題はありませんでした。

 株式に関する税金、投資尺度に関する出題は、いずれも投資家として理解しておきたいものの、正確に計算できる必要があるかは疑問の残るところです。

 債券に関する計算問題は、前回に比べて難易度がかなり下がったように感じます。債券の特性、金利についての知識を正確に理解していれば容易に回答できる水準の出題になっていました。実務レベルとして理解しておきたいところです。

 外貨建て商品に関しては、これまでと同様に、”問題文を理解する”ことから時間を要する出題でした。ここに時間を割くなら、他の出題にとりかかることが優先されるべきと感じます。ただし、冒頭2問以外は、容易に解答できる問題でした。

 では、さっそく出題内容を振り返ります。※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/全出題数)です。

問1|各種経済指標

 GDP[問題1]、日銀短観[問題2]、国際収支[問題3]、機械受注統計[問題4]に関して、これまでも多く出題され、正確な知識が求められる内容でした。過去問に積極的に取り組んでいれば、いずれも難しい内容ではなかった出題です。必ず知っておきたい大切な指標です。(3問/全4問)

問2|経済や金融市場の動向

 日銀[問題5]や、内閣府[問題6]が公表する指標については、概要を理解していることが大切です。これまでも、何度も出題がありました。正確な数値を理解するよりも、ざっくりとして動向・傾向を理解していれば十分な内容でした。

 日銀の金融政策[問題7]、実質金利の理解[問題8]は、数年来の定番問題です。(3問/全4問)

問3|貯蓄型・積立型の金融商品

 定期預金の金利計算・運用成果[問題9]、商品理解[問題10-11]に関する出題でした。できるだけ得点したい内容ですが、商品理解に注力するよりも確実に金利計算ができれば十分です。(2問/全3問)

問4|財形貯蓄と確定拠出年金

 従来通りの出題でした。実務では、財形貯蓄よりも確定拠出型年金の仕組み、制度概要を理解しておうことが大切だと考えています。(1問/全2問)

問5|株式(投資尺度・財務諸表)

 従来同様、計算問題ですが、どのように計算するのかを確認できていれば、とくに難しい出題ではありませんでした。この種の出題は、
・どこに何が記載されているのか
・どのように計算するのか[条件]
を確認することから始める必要があります。(1問/全2問)

問6|株式(税務)

 譲渡損益・配当利子[問題16]は詳細の理解が必要でした。配当所得の申告方法のメリット、デメリットの理解が求められましたね。一方、株価分析[問題17]は理解しておきたい内容です。NISA[問題18]、信用取引[問題19]に関しては、いずれか正答できればヨシとする内容でした。(2問/全4問)

問7|債券

 前回(2023年第1回)の出題が何を問うのか不明でした。それを踏まえてか、出題内容が実務に即した内容に改善されたように感じます。

 計算問題[問題20-22]、運用手法[問題23]、統計資料の理解[問題24]のうち、半数以上は正答しておきたい内容でした。(3問/全5問)

問8|投資信託

 定番の計算問題が続きました【収益分配金】【解約時の課税】【トータルリターン】です。
 ただし、個別元本[問題26]については、元本割れが続くなかで、個別元本がどのように推移するのか基本に忠実な理解が必要でした。
 その他の出題については、概論として理解しておきたい内容ばかりでしたので、大きな得点源となる出題であったように思います。(4問/全5問)

問9|ポートフォリオ理論

 標準偏差(正規分布)[問題30]、収益率[問題31]、CAPM[問題32]、時間加重収益率[問題33]、シャープレシオやジェンセンのα[問題34]について、基本的な理解ができていれば正答できる出題が続きました。大きな得点源です。

 行動ファイナンス[問題35]については、過去問への取り組みが問われる内容でした。(4問/全6問)

問10|外貨建て商品

 [問題36-38]は、回答時間に余裕があれば回答しましょう。外国為替市場に関する知識[問題39]、外貨建て商品に関する課税[問題40]は正答したい内容です。(3問/全5問)

問11|デリバティブ商品

 現物と先物によるヘッジポジションについての出題[問題41]は、かなり久しぶりの出題でした。合成オプションの基本について理解が必要でした。

 2項過程[問題42]、先物ヘッジ[問題43]は、過去問演習ができていれば容易に回答できる内容でした。FX[問題44]、スワップ取引[問題45]、金投資[問題46]に関する知識は、初めての出題が多く、経験がないと理解できない内容でした。(3問/全6問)

問12|制度・法規

 国外財産等の課税[問題47]、金融ADR[問題49]、個人情報保護法[50]は正確な知識が求められる内容でした。金融商品を取り巻く法整備については、正確な理解が求められます。

 各種法律について正確な理解が必要であることは言うまでもありませんが、トラブルが生じた際の対応策や、解決手法について、いま一度、適切な手法を理解しておく必要があります。(2問/全4問)

さて合格ラインは

 これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が29問/全50問でしたので、この前後でしょう。

 2023年12月22日(水)に、合格ラインが公表されました。26問/全50問とのことで、私の予想よりも低い(難易度が高い)結果でした。。。が、出題の半数で合格できるような試験というのは、いかがなものですかね。

 なお、今回の試験(2023年第2回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2023年12月27日(水)に発売予定です。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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■試験対策(2024年第2回試験向け)
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 ・金融資産運用に合格したいあなたへ
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 ・試験分析/金融 2022年 第1回 第2回
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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。