6月9日(日)に、CFP®試験・2024年第1回試験の第1日程が終了しました。金融資産運用設計の出題に対して私が回答した結果、そして感想をお知らせします。
目次
総括
これまでと同様、専門的な知識や行動な計算能力が必要でした。一部、出題の意図を理解することに時間を要する出題がありましたが、それらは気にせず、後回しにすることが大切です。
株式関連の税金、投資尺度、債券に関する計算問題は、これまでより易しく感じました。しかし、出題の意図を瞬時に理解し、どこにどのような記載があるかをすぐに判断できるスキルが必要でした。
外貨建て商品に関しては、これまでと同様、”問題文・条件設定を理解する”ことに時間を要する出題でした。もちろん、回答は後回しです。
それでは、以下に出題内容を振り返ります。※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/全出題数)です。
問1|各種経済指標
GDP[問題1]、景気動向指数[問題2]、マネーストック・マネタリーベース[問題3]、機械受注統計[問題4]と続きました。マネーストック・マネタリーベース[問題3]については久しぶりの出題でした。すっかり取り組みを忘れていたかもしれません。その他の3題はこれまでも多く出題され、正確な知識が求められました。過去問を繰り返し演習していれば、難しい内容ではありません。(3問/全4問)
問2|経済や金融市場の動向
内閣府[問題5]や日銀[問題6]が公表する資料、ざっくり概要(傾向・動向)を理解していることが重要です。何度も出題されている資料です。家計や日本の金融資産等の残高[問題7]や、世界経済の動向についても、おおよその傾向を把握しておきましょう。(3問/全4問)
問3|貯蓄型・積立型の金融商品
定期預金の金利計算・運用成果[問題9]、商品理解[問題10-11]の出題でした。できるだけ得点したい内容ですが、細かい商品理解が必要な選択肢が見受けられ、そこに注力する必要は…と思いました。(2問/全3問)
問4|財形貯蓄と確定拠出年金
従来通りの出題でした。試験対策として必須であることはもちろん、実務でも生活面でも確定拠出型年金の仕組みについては、しっかり理解しておくことが大切です。(1問/全2問)
問5|株式投資(投資尺度・財務諸表)
従来同様の計算問題です。<計算に際しての留意点>に注意しながら、どのように計算するのかを確認していけば、とくに難しい出題ではありませんでした。しかし、必要な数値・項目を見つけ出すまでに相当な時間が必要で、焦らず、回答は後回しにしたほうが得策です。(1問/全2問)
問6|株式投資(税務、取引)
譲渡損益・配当利子[問題16]は<留意点>に従って、計算方法を正確に理解しているかを問われました。新しくなったNISA[問題17]、信用取引[問題18]は、ここ最近の必須内容です。投資部門別株式売買状況[問題19]は、ニュース等でも話題にのぼることが多かったので、理解しておきたいところです。(2問/全4問)
問7|債券投資
前回(2023年第2回)の出題に比べ、出題内容が分かりやすくなりました。しかし、実務において、これらの計算能力が必要なのかと考えると、やはり疑問が残ります。
損益分岐等に関する計算問題[問題20-21]、デュレーション[問題22]は、時間のかかるものでしたが、”何を計算すべき”は容易に判断できる内容でした。税務[問題23]、運用手法[問題24]は是非とも正答しておきたい水準です。(3問/全5問)
問8|投資信託
【解約時の課税[問題25]】【トータルリターン[問題26]】は定番の出題です。
NISAの非課税期間が終了した時の取得費や個別元本[問題27]については、判断に迷った方が多かったかも知れません。ここまで正確な知識を必要とする出題は初めてでした。
その他、投資信託協会による規制[問題28]、パフォーマンス評価[問題29]については、理解しておきたい内容ばかりでした。(4問/全5問)
問9|ポートフォリオ理論
期待収益率・標準偏差[問題30]、時間加重収益率[問題32]、CAPM[問題34]、従来通りでしたので必ず正答しておきたい内容です。一方、相関係数の理解[問題31]、効用無差別曲線[問題33]は、金融理論を正確に理解しているかを問うもので、難しかったかも知れません。
行動ファイナンス[問題35]については、覚えることがたくさんあり苦戦するところですが、選択肢.1のカタカナを日本語に訳すことができれば、容易に正答できました。(4問/全6問)
問10|外貨建て商品
[問題36-38]は、回答時間に余裕があれば回答しましょう。外貨定期預金[問題39]については、できれば正答しておきたい内容でした。外貨建て債券や外国株式は難題が多いですが、外貨預金や外貨建て保険は、容易な出題が多いです。
金融商品の税務[問題40]については詳細な知識、外国為替市場の動向[問題41]については経済動向・景気動向に関する情報感度が求められる内容でしたが、ぜひとも知っておきたい内容です。(3問/全6問)
問11|デリバティブ商品
2項過程[問題42]については、初めてのひっかけがありました。仮定のケース(100円の株価)と、実際に購入するオプション(99円のオプション)との乖離を、正確に反映できたかを問われました。しっかり問題文を読んでいたでしょうか。やや悪意のある出題のようにも感じましたけどね。
合成オプション[問題43]、先物理論価格[問題44]、FX[問題46]については必ず正答して下さい。
そして、国債先物取引[問題45]、オプションの時間的価値[問題47]の出題は久しぶりで、しかも詳細な知識が必要でしたので、正答できなくても仕方ありません。もちろん、実務では備えておきたい知識です。(3問/全6問)
問12|制度・法規
金融資産の課税と健康保険料[問題48]は、たびたび出題がありました。しかし、終盤にこれだけの計算を冷静に回答できるかを問われるとなかなか難しいですね。
それよりも、FINMAC[問題49]、犯罪収益移転防止法[50]で正確な知識を備えておきたいです。(1問/全3問)30/50
さて合格ラインは
これまでより、若干高いと予想します。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が30問/全50問でしたので、このくらいの水準だと予想します。
【追記】
2024年7月17日(水)に公表された合格ラインによれば、23問/全50問でした。過去、最難関の出題だったようです。計算問題が難題であったり、過去とは設定条件が異なっていることに気づかなかったかも知れません。また、時事問題が全般的に細かいところまで問う内容だったこと影響していたようです。
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