11月14日の試験(第1日程)を分析し、出題内容を振り返ります。
2020年第1回試験が中止となり、出題傾向の把握が難しくなりましたが、それ以降の開催により徐々に傾向がわかってきました。
不動産運用設計
不動産の価格動向や法改正等、時事ネタの出題はごく少数ですが、他の受験者との知識の差が生じるポイントです。取りこぼしの無いようにすることが大切ですね。
≪時事問題≫
前回同様、時事問題の出題が少なく、あまり対策を意識する必要が無かった内容です。法改正についての出題ありませんでした。価格動向については、毎回ざっくりと概要だけ理解しておけば十分です。
- 令和元年空き家所有者実態調査報告書 国土交通省住宅局
- 令和3年版土地白書(土地利用、不動産市場の動向)
≪計算問題≫
すべて定番問題でした。また、久しぶりに譲渡所得の「特例」を考慮した計算が出題されました。どれも確実に得点したい内容でした。不動産収支・所得については時間がかかるので後回しでも構いません。
- 不動産収支と所得
- 有効活用 収益還元、複利現価
- 鑑定評価 土地価格の評価
- 建ぺい率、容積率(建築基準法) 角地、防火地域など基本に忠実に
- 譲渡時の税金 居住用財産の譲渡益に対する特例
- 固定資産の交換 借地権と底地の交換による取得可能面積【詳しい解答解説はこちら】
- 有効活用 等価交換、効用積数
≪文章題(知識)≫
各問で、特定のことを「何問かまとめて問う」のではなく、「あれもこれも聞きますけど」という統一感のない出題が目立ちました。
ほぼ毎回出題されている内容でしたが、あちこちで借地借家関連の出題がありました。毎回出題が多いので、確実に得点しておきたいところです。また、譲渡所得の特例に関連した出題が多く、適用要件を正確に理解しておく必要がありました。
法律
- 宅建業法 不動産広告、地位の移転、売買契約、クーリングオフ
- 借地借家法/賃貸借契約(頻出) 契約期間、賃料の変更、
- 不動産登記 根抵当権、競売、借地権の譲渡、建物滅失登記、移転登記
- 都市計画法/建築基準法など 道路予定地、延床面積、土地区画整理
- 共有不動産の扱い(初出題) 抵当権、明け渡し請求、賃貸契約の解除、売却、持分の放棄
- その他法令 デューデリジェンス、耐震改修の促進に関する法律、文化財保護法、土壌汚染対策法、長期優良住宅の普及の促進に関する法律
投資
- 不動産価格
収益価格(DCF法)とその変動要因、公的価格 - 投資関連尺度
DSCR、LTV、レバレッジ効果 - 有効活用
立体買換え特例
税金
- 取得時、保有時
登録免許税・印紙税、不動産取得税・固定資産税、贈与税の非課税の特例、住宅ローン控除 - 賃貸時
不動産所得の経費 - 譲渡時(頻出)
居住用財産の譲渡益に対する特例【詳しい解答解説はこちら】、空き家に係る譲渡所得の特例
その他
- 諸問題 相隣関係、民事信託
≪出題が無かったもの≫
これまでは出題頻度が高かったのに、今回は出題がなかったものです。次回以降に備えて確認しておくべき内容です。
- デューデリジェンス 耐震性、地盤調査
- 老後の住宅 サービス付き高齢者向け住宅、終身建物賃貸借
- 諸問題 筆界、債務保証
≪総括≫
知識を問う内容は、初めて出題のあった問題や、他の分野と絡めて質問されるものもあったので、「今までと違う」印象がありました。計算問題は定番問題ばかりでした。
2019年以降の過去問を繰り返し演習し「文章題の速読」と「素早く計算する方法の確立」が大切です。実務ではあまり活用する機会がありませんが、不動産価格の動向は景気のバロメータですから、知っておきたい情報です。
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