2022年第1回試験の分析(CFP®金融)

 2022年6月12日(日)に、CFP®試験・第1日程が終了しました。

金融には大きなヒントが

 初日1課目めの金融は、今回の試験全般の動向を探る大きな手掛かりとなります。
▶出題傾向は従来通りか
▶難易度は従来レベルか
▶時事問題の内容

 結論から言うと第1日程の3課目「金融」「不動産」「ライフプラン」とも標準的な出題構成でしたが、やや出題内容に変化、難化があったように感じます。

さっそく、回答して難易度を確認しましたのでお知らせします。
※各単元の文末(●問/全■問)は、「全■問のうち●問は正解しておきたい」という意味です。

問1|各種経済指標

 2020年度のGDP(問題1)は、知っている人とそうでない人に差が出たでしょう。それ以外の出題は、用語の説明(記述の正誤)でしたので正解しておきたいところです。(3問/全4問)

問2|経済や金融市場の動向

 すべて時事問題でした。
・世界経済の潮流(問題5)は文脈から理解できる内容
・GDPの見通し(問題6)は用語の理解と動向で少し難しい内容
・価格動向(問題7)、欧米の金融政策(問題8)は知っておきたいところです。(3問/全4問)

問3|貯蓄型金融商品

 定番の金利計算(問題9)と、商品理解でした。できるだけ取りこぼしを少なくしない内容ですが、商品理解に注力することは、あまり得策とは言えません。(2問/全3問)

問4|財形貯蓄と確定拠出年金

 従来と同様の出題でした。個人年金・企業年金に関しては、ライフプランでの出題に近い内容でした。(1問/全2問)

問5|株式投資(財務指標)

 指標の算出を正しく理解しているか、そして問題下の<留意点>を即座に判断できるかがポイントです。「平均値」なのか「期末値(実績値)なのか」をすぐに見分ける練習ができていれば即答できました。(問題14)はすべての空欄を計算しなくても正答にたどり着けます。定率成長モデル(問題15)は定番です。(1問/全2問)

問6|株式投資(税務、市場、証券口座)

 税額計算(問題16)は、「配当所得の申告を所得税と住民税とで異なる方法を選択する」ことに気づくかどうか、「どれの方法を選択すると税額が少なくなるか」を理解できているかという難問でした。専門的知識(問題17)はできなくてヨシとして、旬なネタ2問で正解したいところです。(2問/全4問)

問7|債券投資

 全体的に難しかったです。もはや数学の問題と言える債券価格・利回り計算(問題20)(問題22)、国債について専門性の高い知識が必要なもの(問題24)、デュレーションについては従来とは出題形式が異なる(問題21)など、動揺した人が多かったのではないと推測します。かなりキツかったでしょう。(3問/全6問)

問8|投資信託

 譲渡所得(問題26)【詳しい解説】、個別元本(問題27)【詳しい解説】、トータルリターン(問題28)【詳しい解説】などの計算問題は、過去問からの焼き直しばかりでした。ただし引っかけ要素の高いものばかりでしたので、いかに正確に理解していたかが問われます。知識については専門性の高い内容でした。できなくてもあまり気にせずに。(3問/全6問)

問9|ポートフォリオ理論

 定番の出題が中心でした【詳しい解説】。しかし、正規分布の理解(問題32)に関しては従来と出題方法が異なり【詳しい解答】、所与された図表の意味を正しく理解しているかを問われるものでした。できれば問9で多く得点しておきたい水準でした。(4問/全5問)

問10|外貨建て商品

 計算問題(問題37~39)はどれも条件(設定)がややこしく、出題の意味を理解するのに時間がかかるかも知れません。これらは出題者からすれば時間を消耗させるものですので、最後に解答するのが良いでしょう。出題の意図が理解できれば、わりと早く回答できます。後半の穴埋めや文章題で正解できれば十分でしょう。(2問/全5問)

問11|デリバティブ

 定番のオプション戦略(問題42)、先物理論価格(問題43)、先物のフルヘッジ(問題44)は必ず正答しましょう。ここで誤答となると、合否が分かれるような気がします。その他は、出題頻度の少ない知識問題でした。(3問/全5問)

問12|税制・法規

 確定申告(問題47)、暗号資産の税務(問題48)、個人情報保護(問題50)は、出題頻度が高いので得点しておきたい水準の出題でした。(3問/全4問)

さて合格ラインは

 7月20日(水)に公表されるようですが、これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が30問/全50問でしたので、これより若干低いくらいでしょうか。

 ※合格ライン;28問でした。(7月20日発表

 今回の試験(2022年第1回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2022年8月初旬をめどに製作しておりますので、ご希望の方は、いましばらくお待ちください。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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 ・試験分析/金融 2021年 第1回 第2回
 ・試験分析/金融 2022年 第1回 第2回
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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。