2022年第2回試験の分析(CFP®金融)

 2022年11月13日(日)に、CFP®試験・第1日程が終了しました。まずは、金融資産運用設計について回答してみたので、その結果・感想をお知らせします。

印象

 全体的にはこれまで通り「難しい課目」との印象がありました。一方で、債券に関する出題は、もはや出題者の趣味で出題しているとしか思えないほど、どうでも良い「文章読解力」「数学解答力」を問うものでした。今後の改善を求めます。

 外貨建て商品については、相変わらずのマニアックな出題でした。ここに時間を割くようなら、他の出題に注力したほうが良いと感じるものでした。ただし、ややこしい計算問題が4問あったので、捨て問題とするには抵抗があった方もいたのではないでしょうか?

 では、さっそく出題内容を振り返ります。※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/全出題数)です。

問1|各種経済指標

 いずれも景気を判断する指標として理解しておきたい内容です。GDPの寄与度[問題1]は何度も出題されているので確実に得点を。その他、統計データ[問題3][問題4]についての知識は押さえておきたいところです。
 米国の雇用統計[問題2]については、知識としてもっておきたいところですが、知らなかった人も多いと思います。実務(株式等の投資)においては、必ず知っておきたい大切な指標です。(3問/全4問)

問2|経済や金融市場の動向

 プライマリーバランスに関する知識[問題5]、時事問題[問題6]~[問題8]でした。
 [問題6]については、景気を左右する要因について基本事項を理解しているかを問う内容でした。物価安定目標に関する日銀のスタンス[問題7]や、直近の為替動向[問題8]は必ず得点しておきない内容です。(3問/全4問)

問3|貯蓄型金融商品

 定番の計算[問題9]と、商品理解でした。できるだけ得点したい内容ですが、商品理解に注力するのは得策ではありません。(2問/全3問)

問4|財形貯蓄と確定拠出年金

 従来通りの出題でした。(1問/全2問)

問5|株式(投資尺度・財務諸表)

 計算にあたって、
[問題14] → 何を使用するのか、計算過程での単位
[問題15] → イールドスプレッド、投資収益率、自己資本比率、配当利回りとは?
理解しているかを問われるものでした。回答に時間がかかる内容ですが・・・(1問/全2問)

問6|株式(税務)

 譲渡損益・配当利子[問題16]については、引っ掛け要素の確認、そして詳細の理解が必要でしたが、過去に出題されたことがあるので得点できた方が多いかも知れません。ここで得点できなかったとしても、株式に関する税制[問題17][問題18]については理解しておきたいところです。(2問/全3問)

問7|債券

 これまでも、債券価格の理解を問うものが定番でした。しかし今回ほど、お粗末な出題者の趣味が反映されたものは見たことがありません。「それを知ったところで、どうなん?」と感じる内容でした[問題19]。
 デュレーション[問題20]は得点し、[問題21][問題22]の嫌がらせは無視し、知識問題[問題23][問題24]いずれかで得点できれば十分でしょう。(2問/全6問)

問8|投資信託

 はじめに定番の計算問題が3問続きました【解約時の課税】【トータルリターン】。投資信託の一般知識[問題28]はごく一般的な知識、投資環境[問題29]は前回につづき東証の改編を問うものでした。(4問/全5問)

問9|ポートフォリオ理論

 標準偏差についての分離定理[問題30]が出題されました。基本事項を理解できていれば即答できる内容でした。その他[問題31]~[問題33]は典型問題、[問題34]は図を正確に解釈できるかの出題でした。(3問/全5問)

問10|外貨建て商品

 [問題35]から[問題38]は、回答時間に余裕があれば回答しましょう。冒頭に触れたような、もはや嫌がらせです。外国為替に関する基本知識[問題39]と、金融商品に関する所得税[問題40]は、理解しておきたいところです。(2問/全6問)

問11|デリバティブ商品

 オプション取引の戦略[問題41]は、若干これまでと異なる出題でしたが、基本を理解していれば容易な内容でした。また、FX取引に関する知識[問題45]は難しかったかもしれません。その他、オプションの期待値【詳しい解答解説】など定番問題は得点しておきたいところです。(3問/全5問)

問12|制度・法規

 税制(申告方法の違い)に関するもの[問題46]、投資尺度[問題47]については、正確な知識が求められる内容でした。各種法律・制度については、過去に何度も出題があった内容なので、確実に得点しておきたい水準でした。(3問/全5問)

さて合格ラインは

 これまでと同水準でしょう。今回まとめた「正解しておきたい」出題数が29問/全50問でしたので、この前後でしょう。

 →2022年12月21日発表の「合格ライン」では、26問以上でした。過去、最低(最難)レベルですね。株式・債券投資関連、外貨建て商品に関しては、必要な知識をテキストで提供すべきであったのに対し、過去問の水準をはるかに超えるニッチな内容を問うものでした。(2022年12月21日・加筆)

 今回の試験(2022年第2回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2022年12月27日発売です。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
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東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。