2024年6月16日(日)に、CFP®試験・第2日程が終了しました。その2課目め、タックスプランの出題内容を確認し、回答して気づいたことや感想をまとめました。最後には、気になる合格ラインも掲載しました。(※あくまで個人の感想です)
目次
全体の印象
前回(2023年第2回)と同様に、回答時間のかかる出題が冒頭に集中しました。そして、初出題の内容や最近改正されたことを問う出題も多くありました。一方、従来通り、単純な計算でありながら引っ掛け要素のある出題が随所にありました。
※各段落の末尾には(正答したい問題数/全出題数)を記載しています。
問1|個人の税務(給与所得、退職所得ほか)
給与所得者の手取り金額[問題1]は、”住民税の計算”を問うものでしたが、確実に正答するためには、所得税での所得控除を正確に把握することが必要でした。退職金の手取り金額[問題2]は、問題文の”条件”を確認しておく必要がありました。そして、個人年金の収入がある場合の手取り金額[問題3]については[問題2]と前提条件が異なることに違和感を憶えました。
給与所得者に年金収入がある場合[問題4]は調整控除の理解が必要でした。居住用財産の譲渡所得[問題5]は、これまで不動産運用での出題ばかりでしたが、細かい理解が必要で、苦戦したかも知れません。
総合課税の譲渡所得[問題6]、配偶者控除・配偶者特別控除[問題7]は、出題のポイントを理解できれいれば即答できる内容でした。(5問/全7問)
問2|所得税(総所得金額)
給与所得者に特定の扶養家族がいる場合[問題8]、どのような家族構成かに気づく必要がありました。(1問/全1問)
問3|不動産所得
不動産所得[問題9]やキャッシュフロー[問題11]は必ず正答しておきたい内容です。減価償却費[問題10]は月割りがポイントですし、収入時期[問題12]、必要経費となる支払利息[問題13]は定番の出題です。敷金の解釈[問題14]には苦戦された方が多かったかも知れません。(4問/全6問)
問4|事業所得
各問とも注意点に気づくことができれば容易に回答できるものでした。”ひっかけ”とも捉えられますが、いずれも実務ではミスのないようにしておくべき内容です。
中古資産の減価償却[問題15]は月数の端数処理が重要でした。国庫補助金の取扱[問題16]は基本的な理解が必要でした。純損失[問題17]、必要経費[問題18]は、条件・要件の正確な理解が必要でした。(3問/全4問)
問5|所得とキャッシュフロー
所得税額[問題19]、キャッシュフロー[問題20]とも、所得税の計算方法や、所得とキャッシュフローの違いなど、所得税・住民税の計算過程についての全体像の理解が求められる内容でした。(2問/全2問)
問6-7|一時所得、退職所得
所得税を計算する最初のステップ、”所得とは?”を理解しているかの設問でした。保険金[問題21-22]、退職金[問題23]について、基本的な計算方法、課税対象の理解が必要でした。課税対象が1/2になる場合と、そうでない場合の理解が必要でしたね。(2問/全3問)
問8|株式の譲渡についての課税
短時間で回答できる定番問題が続きました。配当所得[問題24]、損益通算と繰越控除[問題25]、譲渡所得[問題26]について、得点しておきたい出題でした。
今回は配当控除や、ストックオプションに関する出題はありませんでしたが、併せて理解しておきたいところです。次回以降に向けて要チェックです。(2問/全3問)
問9|居住用不動産の譲渡
前回試験【2023年第2回】と同様、居住用不動産の譲渡[問題27]の際、建物の減価償却費の計算に苦戦した方が多かったかも知れません。(0問/全1問)
問10-11|所得控除、損益通算
扶養控除(人的控除)[問題28]は、ひとり親控除の理解が必要でした。医療費控除[問題29]の適用範囲、損益通算の順序・対象[問題30-31]は、詳細な知識が必要な出題でした。(2問/全4問)
問12|住宅ローン控除
住宅ローン控除[問題32]は定番です。控除率、控除額の上限に注意すれば正答できました。(1問/全2問)
問題13|海外赴任者の課税
海外勤務に伴う所得税・住民税の課税体系は、要件の概要を理解していれば十分です。(1問/全1問)
問題14-15|消費税・個人事業税
課税事業者の判断[問題35]、消費税額[問題36]について、これまでより易しい出題でした。とくに消費税額の計算は、簡易課税(不動産業)に気づけば即答できる内容でした。
個人事業税の計算についても、”月割計算”に気づけば正答できました。(2問/全3問)
問16|法人成り
役員給与[問題38-39]、法人税の申告[問題40]に関しては、できるだけ正答しておきたい内容でした。(2問/全3問)
問17|損金不算入額(法人税)
租税公課[問題41]、役員給与[問題43]、繰越欠損金[問題46]は必ず正答しておきたい水準です。
一方、交際費[問題42]の”下請け企業の従業員”や、減価償却の特例の適用方法[問題44]【過去問の詳細解説】、貸倒損失の要件[問題45]は、判断が難しかったかも知れません。(4問/全6問)
問18|法人と役員の取引
個人(役員)から法人への低額譲渡[問題47]、保険契約の契約変更[問題48]は、過去問への取り組みができていれば正答できました。(1問/全2問)
問19|財務諸表(製造原価報告書、損益計算書)
製造原価報告書[問題49]は、損益計算書との関連を正確に理解しておくことが必要です。
財務諸表[問題50]に関し、売上高原価率(選択肢3)や売上債権回転率(選択肢4)を問うのは初めてだと思いますが、言葉の意味を推測できれば正確に計算できたかと。(1問/全2問)33/50
さて合格ラインは
給与所得、減価償却、損金計上において難題があった一方で、従来通りで容易に回答できるものも多くありました。合格ラインは、敢えてこれまでより高く「正解しておきたい」出題数は33問/全50問としました。タックスを得意とする受験者が多く、これくらい余裕がないと「合格です!」とは言いにくいレベルの出題でした。
【追記】
2024年7月17日(水)に公表された合格ラインによれば、28問/全50問でした。
ひっかけ要素と言うべきか、細かな注意点。近年の改正事項など。予想以上に苦戦された方が多かったようです。
改正事項はもちろんのこと、知っておくべき詳細な情報を理解できているかを問う出題が多くありました。試験に合格できることはもちろん大切ですが、実生活に役立つ知識を得ているか・・・問う出題が冒頭に続いたように感じます。
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・試験分析/タックス 2022年 第1回 第2回
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