2022年第2回試験の分析(CFP®リスクと保険)

 2022年11月20日(日)に、CFP®試験・第2日程が終了しました。リスク管理の出題内容を確認し、回答した結果わかったことなどを記載します。最後に気になる合格ラインのお知らせもあります。

印象

 商品知識や経理処理など、定番の問題が続く一方で、例えば
・公的年金や個人年金に係る雑所得
長期平準定期の経理処理【注意】

・圧縮記帳
などに関しては、細かい知識が必要、あるいは注意点の理解が必要で苦戦したのではないかと思います。全体的には標準的な出題でしたが、回答順序を決めていた人や、過去問との違いを察知した受験者が相当有利になったと感じます。

 また、生命保険、損害保険ともに資料(約款や商品パンフレット、証券)の読み取り問題が10題以上ありました。確かに必要なスキルだとは思いますが、あまりに多いと読解力だけを試されているだけのような違和感を憶えます。

問1|保険コンサルと法令、制度

 保険会社の破綻[問題2]に関し、細かい知識が必要でした。また、生命保険の約款の理解[問題4]には要領よく読み進めるスキルが必要でした。冒頭から、やっかいな内容でした。(2問/全4問)

問2|保険契約の税務上の取り扱い

 所得税関連の出題です。医療費控除[問題5]、生命保険料控除[問題8]、一時所得[問題9]の計算ができれば十分だったと思います。一方、定番ではありますが個人年金[問題7]、雑所得[問題6]に関してはかなりの知識が必要で、苦戦したのではないでしょうか。(3問/全5問)

問3|生命保険の見直し(証券の読み取り)

 それぞれの条件(保険事故)にしたがい、条件に合うもの/合わないものを要領よく判断する必要があります。各特約の特徴について、下線を引くなど、即座に理解する必要がありました。
 いずれにしても回答に時間を要するものばかり4題続きますので、回答は後回しです。(2問/全4問)

問4|個人の保障

 生活保障に関する計算問題[問題14]、名義変更に係る税務[問題16]については正答しておきたい内容でした。(2問/全3問)

問5|自営業者の保障

 個人事業から法人化にともなう名義変更時の経理処理[問題17]、少額短期保険業[問題18]は確実に得点しておきた内容です。資料(パンフレット)の読み取りは後回しですね。(2問/全3問)

問6|生命保険を活用した相続対策

 相続税に関連した出題です。死亡保険金の課税対象[問題20]、保険料の贈与[問題21]、生命保険信託[問題22]に関しては理解しておきたいところです。以降、代償分割[問題23]、2次相続対策[問題24]に関しても正答できれば良いですが、とにかく問題文(設例の氏名)が読みにくく、出題方法に悪意を感じました。(3問/全5問)

問7|役員退職慰労金、事業保障資金

 事業保障資金[問題25]の出題は必ず正答しておきたい水準でした。一方、長期平準定期保険の経理処理[問題26]については何のヒントもなかったため、処理方法を正確に覚えている人でなければ正答できない内容でした。非常に難しかったと思います。(1問/全2問)

問8|従業員の福利厚生

 死亡退職金の規定[問題27]については”会社都合”となることがポイントでした。養老保険の経理処理[問題28]は資料の読解力を求められるものでした。その他、退職金制度に関する知識は細かい知識が求められる水準でした。(2問/全4問)

問9|損害保険のしくみ

 契約者保護、保険業法など定番が続きましたが、紛争解決機関に関する知識[問題34]は細かいところまで理解が必要でした。(3問/全4問)

問10|損害保険の保険金(約款の読み取り)

 自賠責保険[問題35]に関してはライプニッツ係数の理解がポイントですが、その他、住宅総合保険[問題36]、ゴルファー保険[問題37]、旅行傷害保険[問題38]など、従来と比べて資料が短くなったため条件を読み進めることが苦痛でなくなったように感じます。ただし、ある程度時間がかかることには変わりないので、余裕をみて回答することや、あらかじめ回答順を考えておく必要があります。(2問/全4問)

問11-12|自営業者・法人の損害保険

 自営業者の損害保険に関し、自動車保険・ノンフリート等級[問題39]は必ず正答を、所得補償保険の保険金額[問題40]は冷静に取り組めば容易に正答できるものでした。また、法人の損害保険に関して、企業費用・利益総合保険の保険金額の計算[問題41]、賠償責任保険[問題42]や労働災害総合保険[問題43]の知識については、いずれも正答しておきたい出題でした。
 終盤の知識問題は大きな得点源と言えます。(4問/全5問)

問13|損害保険の経理処理(法人)

 損害保険の経理処理についての出題が少なくなりました。積立普通傷害保険の経理処理[問題44]、圧縮記帳[問題45]の出題は必ず正答しておく必要があります。圧縮記帳は「保険差益」が上限だということに注意が必要でした。(2問/全2問)

問14|損害保険の税務(個人、個人事業主)

 地震保険料控除[問題46]、損害賠償金や損害保険金の課税[問題47-48]、保険料と必要経費[問題49]など、基本知識を問うものが続きました。終盤には、典型かつ即答可な出題が多くありますかた、回答の順序を考えておくことも大切です。(4問/全5問)

さて合格ラインは

 合格ラインはこれまでと同じ水準だと予想します。今回まとめた「正解しておきたい」出題数は32問/全50問でした。一部、かなり難しい出題があったので、もしかすると少し下がるかも知れません。とは言え、全体的に”難しかった”とは言えないレベルでしたので、従来通りの出題については確実に得点しておきたいところです。

 →2022年12月21日発表の「合格ライン」では、29問以上でした。これまで同様、保険証券や約款の読み取り、仕訳に苦戦した方が多かったようです。(2022年12月21日・加筆)

 今回の試験(2022年第2回)の解答解説を含んだ「新・図解」は2022年12月27日発売です。

■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
 金融不動産ライフリスクタックス相続

■試験対策(2024年第1回試験向け)
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■CFP®試験・リスクと保険について
 ・リスクと保険に合格したいあなたへ
 ・試験分析/リスク 2021年 第1回 第2回
 ・試験分析/リスク 2022年 第1回 第2回
 ・試験分析/リスク 2023年 第1回 第2回

東京うまれ。札幌、東京、大阪、岡山など、全国各地でセミナーや講演活動を行い、好評を博す。2013年より、日経新聞の読み方教室、資産運用や税金対策、資格取得講座を中心に、”見えるお金、分かるお金を、使えるお金に。。。”の探究を楽しんでいる。