11月17日(日)に、CFP®試験・2024年第2回試験の第2日程が終了しました。リスクと保険の出題について私が回答した結果、そして試験全般の感想をお伝えします。最後には、気になる合格ラインのお知らせもあります。
目次
総評
商品パンフレットの読み取り(生保商品)や経理処理など、定番の問題が続く一方で、
- 公的年金や個人年金に係る雑所得
- 定期保険の経理処理【注意】
- 保険金の税務、保険料控除額
に関し、正確な知識と計算要件の理解が必要でした。何度も出題されている分野は確実に得点したいところですが、回答に時間がかかるだけでなく、正答にたどり着くのに相当な労力が必要でした。
生命保険、損害保険ともに資料(約款や商品パンフレット、証券)の読み取り問題は、従来通りの出題でしたので、回答順序をあらかじめ決めておくことが大切です。
※各段落の末尾にあるのは(正答したい問数/全出題数)です。
問1|保険コンサルと法令、制度
FPによるアドバイス[問題1]、保険法[問題2]、生命保険数理[問題3]は、いずれも難しい選択肢が並びましたが、「明らかに誤り」な選択肢があり、そこに気づけたかどうかでしたた。今後、実務に向けて知識を深めておくことも大切です。(2問/全3問)
問2|保険契約の税務
所得税についての出題です。タックスプランニングの出題とも類似しています。
個人年金保険等の雑所得[問題4]、生命保険料控除[問題6]は、正確な知識と細かな注意が必要でした。
どちらも毎回出題されるようになりましたが、[問題4]においては経理率の算出方法、[問題6]介護保障保険に関する取扱いを正確に理解しておく必要があります。(2024年12月9日・追記)
ほかにも、医療費控除[問題5]、退職慰労金の仕訳[問題7]、一時所得となる保険金[問題8]に関して、細かな注意点に気づく必要がありました。ひっかけ要素の多い出題でした。(3問/全5問)
問3|生命保険の約款の読み取り
5ページにもわたる生命保険商品の約款の読み取り[問題9-11]でした。
- どこに何が記載されているのか
- 特約の適用要件
- 但し書き
などの条件について、即時に正確な判断が必要です。保険業で実務を経験されている方や、過去問を念入りに取り組んでいる方なら早々に解釈できたかも知れません。ひとまず、回答は後回しです。(0問/全3問)
問4|遺族の生活保障(個人の生活設計)
必要保障額の考え方[問12]、名義変更における税務[問題13]は、いずれも必ず理解しておきたい内容です。FP的な視点でのキャッシュフローの理解(←問題12)、万が一の際の税務の理解・備え(←問題13)は、実務において大変重要な内容です。(2問/全2問)
問5|個人事業主の経営
退職金制度[問題14]については細かな知識が必要でした。名義変更[問題15]、死亡退職金の経理処理[問題16]は何度も出題のあった内容ですから、即答できるようにしておきたいです。(2問/全3問)
問6|老後の生活設計
相続税の計算の流れを正確に理解し、何をどのように相続対策するか。毎回出題されます。
従業員の死亡退職金の算出方法[問題17]、老後の生活資金[問題18]については、資料の読み取り能力を問うもので、実務とはずいぶん乖離しているように感じます。
退職金の課税体系[問題19]、保険会社の健全性指標[問題20]は、難易度の高い出題でした。一方、支払調書[問題21]については必ず理解しておきたいものです。(3問/全5問)
問7|生命保険を利用した相続対策
生命保険金・死亡退職金の課税対象[問題22]は定番問題です。誰が、いくら保険金を受け取ったかを正確に理解できていれば即答できる内容です。
契約者の変更[問題23]も定番です。いつ、何に対して課税されているのかを丁寧に確認していれば容易に判断できる内容です。
相続放棄[問題24]、代償分割[問題25]、生前贈与における留意点[問題26]など基本的な知識を問うものがつづきました。大きな得点源となる分野でした。(4問/全5問)
問8|役員退職慰労金、事業保障資金
資料(条件)の理解には時間のかかる内容ですが、決して難しい内容ではなく、できるだけ正答しておきたい出題です。とくに役員退職慰労金等[問題27]、事業保障資金[問題30]は確実に得点しておきたい内容です。
一方、収入保障保険に係る雑所得[問題28]、長期平準定期保険の経理処理[問題29]は、出題されるごとに、難易度が高まっているように感じます。(2問/全4問)
問9|損害保険のしくみ
損害保険契約者保護機構[問題31]、紛争解決機関[問題32]、損害保険料の算定[問題33]は、消去法で正解に導けるものばかりでした。細かい記載場所に気づくか否かは過去問への取り組み次第です。(2問/全3問)
問10|損害保険の保険金
保険約款の読み取りです。
自賠責保険[問題34]、住宅火災保険[問題35]、ゴルファー保険[問題36]、個人用生活補償保険[問題37]など、基本知識が備わっていればすぐに読み取るポイントが判断できますが、回答時間に余裕がある場合に取り組んだほうが良い問題です。(1問/全4問)
問11|個人の損害保険
地震保険[問題38]、自動車保険[問題39]は、どちらも基本事項を問うものでした。(2問/全2問)
問12|個人事業主の損害保険
店舗休業保険に関する資料の読み取り[問題41]には多少時間が必要でした。一方、店舗総合保険[問題40]、普通傷害保険[問題42]は、いずれも即答できる内容でした。(2問/全3問)
問13|法人の損害保険
企業活動のリスクに備えた保険商品の理解が必要です。
各種リスク対応の保険に関する知識[問題43]、火災保険に付帯する拡張危険負担特約[問題44]、自動車保険のノンフリート契約[問題45]、労働災害総合保険[問題46]など、定番の出題が続きました。できるだけ得点しておきたい出題です。(3問/全4問)
問14|損害保険の税務
地震保険料控除[問題47]、損害賠償金[問題48,49]については、基本知識で十分対応できる内容でした。また、雑損控除・災害減免法[問題50]に関しては久しぶりの出題だったので回答に苦慮したかも知れません。
これまで、所得補償保険、長期火災保険、圧縮記帳、積立普通傷害保険に関する出題が多かったので、当てが外れたと思った方が多かったのではないでしょうか。(3問/全4問)
さて合格ラインは
合格ラインはこれまでと同水準と予想します。あちこちに難題や、相当な回答時間が必要だった出題がありましたが、商品知識については即答できるものが多くありました。
そして、今回まとめた「正答しておきたい」出題数は31問/全50問でした。(※下記、筆者メモを参考に)
問2については全般的に難易度の高い出題が続いたため、合否の水準に大きく影響する分野だったと推測します。その結果、合格ラインは、30問をやや下回ると考えます。(2024年12月9日・追記)
【筆者メモ】
- 回答は後回し→7題
- 従来より難題→10題
■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
金融|不動産|ライフ|リスク|タックス|相続
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・リスクと保険に合格したいあなたへ
・分析/リスク 2021年 第1回 第2回
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