6月16日(日)に、CFP®試験・第2日程が終了しました。
その1課目め、”リスクと保険”での出題内容を確認し、私が回答した結果、気づいたことや感想などをまとめました。そして最後には気になる合格ライン(予想)をお知らせします。
目次
印象
今回もまた、商品パンフレットの読み取りや約款の読み取りが多く、理解力よりも”読み取り能力”を問うものが大半でした。生保商品の証券の理解については出題がありませんでした。
また、
- 公的年金や個人年金に係る雑所得
- 定期保険の経理処理【注意】
- 保険料、保険金の税務
についての出題は、注意点・条件等の分類表がなく、”細かいところまで覚えていて当然”と解釈できます。以前に比べて、かなり難易度が増しています。なので、これらの出題以外の範囲で何度も出題されているものところで、いかに得点できるかが重要です。
※各段落の末尾にあるのは(正答したい問題数/全出題数)です。
問1|保険コンサルと法令、制度
保険文化センターの資料の読み取り[問題1]、保険業法[問題2]、FPによるアドバイス[問題3]は確実に正答できるようにしましょう。これら、保険業界を取り巻く環境、基本的な商品は、実生活においても理解しておきたい内容です。
一方、保険会社の破綻[問題4]、ディスクロージャー資料の用語[問題5]、専門用語をどれだけ正確に理解しているかを問うものでした。(3問/全5問)
問2|保険契約の税務
所得税について典型的な出題が続きました。タックスプランニングの出題とも類似しています。
医療費控除[問題6]は正答しておきたい水準でしたが、個人年金保険等の雑所得[問題7]、一時所得[問題8]、生命保険料控除[問題9]は、正確な知識と細かな注意が必要でした。とくに[問題8]の保険金に関しては、誰がいつ、いくら保険料を払ったかの理解が必要でした。(2問/全4問)
問3|生命保険の約款の読み取り
5ページにもわたる生命保険商品の約款の読み取りでした。
- どこに何が記載されているのか
- 特約の適用要件とは
- 但し書き
などの条件について正確な判断が必要です。保険業界で実務を経験されている方や、過去問を念入りに取り組んでいる方なら早々に解釈できるでしょう。(1問/全3問)
問4|老後の生活保障(個人の生活設計)
必要保障額の考え方[問題13]、利率保証型確定拠出年金[問題14]、少額短期保険[問題15]は基本的な内容でした。介護年金保険[問題16]については、商品知識の理解が必要ですが、今回は資料の読み取りでしたので回答に時間がかかったかも知れません。(3問/全4問)
問5|老後の生活設計(自営業者の保障)
保険契約の名義変更[問題17]は回答に時間のかかる定番問題です。支払調書[問題18]、外貨建て保険の資料の読み取り[問題19]も、時間をかけてじっくり回答する出題でした。(2問/全3問)
問6|生命保険を活用した相続対策
相続税の計算の流れを正確に理解し、何をどのように相続対策するか。毎回出題されます。
死亡保険金の課税価格[問題20]、代償分割の知識[問題21]、生命保険信託[問題22]はいずれも正答しておきたものです。
信託に関しては、ライフプランニングや不動産運用においても出題されることが多いので、関連して覚えるのも良いでしょう。(2問/全3問)
問7|役員退職慰労金、事業保障資金
資料(条件)の理解には時間のかかる内容ですが、決して難しい内容ではなく、できるだけ正答しておきたい出題です。
役員退職慰労金等[問題23]、事業保障資金[問題24]は、確実に得点しておきたい内容です。一方、慰労金等の税務[問題25]は判断に迷う選択肢がありました。
長期平準定期保険の経理処理[問題26]は、毎回出題されるので理解を深めておきたいところですが、実務で、たったこれだけの情報で正答できる必要があるかは疑問です。(2問/全4問)
問8|従業員の福利厚生
死亡退職金の計算[問題27]は、いかに正確に条件を読み取れるかを問われました。それが実務に必要かと問われれば疑問ですが。
確定拠出年金や個人年金保険の知識[問題28]、ハーフタックスプランの仕訳[問題29]、中小企業退職金共済の退職金[問題30]は、正答必須です。(3問/全4問)
問9|損害保険のしくみ
保険の消滅時効[問題31]、地震保険制度[問題32]は、細かいところまで理解が必要でした。損害保険の法律[問題33]については正答しておきたい水準です。(1問/全3問)
問10|損害保険の保険金
地震保険[問題34]、自動車保険[問題35]は支払条件等の記載箇所の把握に時間がかかります。一方、旅行傷害保険[問題36]、店舗総合保険[問題37]は、過去問で要点を把握できていれば、短時間で回答できる出題でした。
細かい記載場所に気づくか否かは過去問への取り組み次第です。(2問/全4問)
問11|個人事業主の損害保険
自動車保険[問題38]、所得補償保険の保険金額[問題39]、いずれも必ず理解しておきたい内容でした。(2問/全2問)
問12|法人の損害保険
企業活動のリスクに備えた保険商品の理解が必要です。
利益総合保険の保険金[問題40]については約款の精査が必要でした。自動車保険のノンフリート契約[問題41]、労働災害総合保険[問題42]についても、詳細な知識が求められました。ここでは最低でも、サイバー保険[問題43]については正答しておきたいところです。(2問/全4問)
問13|損害保険の経理処理(法人)
所得補償保険[問題44]、長期火災保険[問題46]は、基本知識で対応できました。介護費用保険[問題45]に関しては、被保険者が誰かを判断する必要があり、難しかったかも知れません。
圧縮記帳[問題47]は定番の出題ですが、各イベントごとの仕訳の正誤、さらに記帳方式の違いを問う(選択肢4)もので、難解の選択肢がありました。(2問/全4問)
※長期火災保険、積立普通傷害保険に関する出題が今回もありませんでした。
問14|損害保険の税務(個人、個人事業主)
傷害保険[問題48]、保険料の経費処理[問題49]、相続税評価[問題50]は、いずれも基本的な知識でを問う内容でした。(3問/全3問)
さて合格ラインは
合格ラインはこれまでと同水準と予想します。あちこちに難題や、相当な回答時間が必要だった出題がありましたが、商品知識については即答できるものが多くありました。
そして、今回まとめた「正答しておきたい」出題数は30問/全50問でした。
【追記】
2024年7月17日(水)に公表された合格ラインによれば、28問/全50問でした。ほぼ予想通りだったかと思います。
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・リスクと保険に合格したいあなたへ
・分析/リスク 2021年 第1回 第2回
・分析/リスク 2022年 第1回 第2回
・分析/リスク 2023年 第1回 第2回
・分析/リスク 2024年 第1回