11月21日の試験(第2日程)を分析し、出題内容を振り返ります。
2020年第1回試験が中止となり、出題傾向の把握が難しくなりましたが、それ以降の開催により徐々に傾向がわかってきました。
相続・事業承継
相続・事業承継で常に注意が必要なのは「民法と相続税法の違い」です。民法は、相続する人たちの間でモメごとが発生した場合の解決方法が決められています。財産の分け方、話し合いのルールなどです。一方の相続税法は、相続税や贈与税の税額の算出方法を決めた法律です。それぞれのルールがどのように異なるのかを理解しておく必要があります。
《相続の概要 / 民法》
民法の規程に関する出題は、相続分に始まり、分割協議、遺言など様々な場面でのトラブル等が問われます。いずれも判断基準が「いま」であることを意識して回答することが大切です。近年の相続を取り巻く環境や民法の改正を受けて出題内容が変化しつつありますが、多くは定番ですので必ず得点しましょう。
- 相続財産の計算
法定相続分、相続人(放棄)、修正(寄与分)、遺留分 - 時事問題
特別の寄与、配偶者居住権、特別縁故者 - 遺言
自筆証書遺言、遺贈 - その他
成年後見制度(任意後見、法定後見)
《相続税の仕組み》
税法は相続税がいくらになるか算出するルールであり、どのように財産を評価するかの理解が必要です。課税される財産の分類や、税額の計算ステップに関しては、これまで通りの出題が並びました。ただ、畳みかけるように計算問題が続きますので、問題ごとに頭を切り替える練習が必要です。なお、久しぶりに相次相続控除の出題がありました。
制限納税義務者については、出題内容は従来通りでしたが、回答方法が非常にラクでした。
- 課税価格
保険金、生前贈与財産、退職手当金・弔慰金、債務控除 - 相続財産に関する知識
小規模宅地の特例 - 相続税算出過程
基礎控除、贈与税額控除、配偶者の税額軽減【過去問の詳しい解説】、2割加算、相次相続控除 - 制限納税義務者、国外財産評価
- 相続税の申告および納付
《相続対策》
保有資産の変更により、課税遺産総額をどの程度少なくできるかを問うものです。回答に少し時間を要する出題ですが、過去問で繰り返し演習をしてコツを掴んでいれば、容易に正答できる内容でした。
- 課税遺産総額の引き下げ額
現金の生前贈与、生命保険契約、賃貸用アパートの取得 - 相続対策と効果
相続時精算課税制度、小規模宅地の特例、相続財産の譲渡、納税資金
《贈与税》
計算問題、知識を問う問題とも少なくなりました。すべて基本的な内容なので、全問正答したいところでした。
- 贈与税額の計算
暦年課税、相続時精算課税、配偶者控除【過去問の詳しい解説】 - 贈与財産の知識
特例財産(住宅取得等資金、教育資金)
《財産評価》
不動産(土地)の評価については、親切(質問内容を理解しやすい)な出題になりました。細かい設定がどう評価額に影響するのか、過去問で演習を繰り返した人にとっては容易な出題でした。
金融商品や自社株の評価については標準的な出題、事業承継に関する知識は専門性が高まっていますが、定番の出題を確実に正答できていれば合格できると思います。
- 土地の評価 自用地、貸家建付地
- 金融商品の評価 生命保険契約に関する権利【過去問の詳しい解説】、株式【過去問の詳しい解説】、公社債
- 事業承継 自社株の評価【詳しい解答解説】、納税猶予および免除、遺留分の特例、譲渡制限株式、M&A
《総括》
過去問への依存度が高い課目です。徐々に出題方法が変化していますが、出題内容については概ね従来通りと言えます。時事問題についての対応も必要ですが、まずは過去問を繰り返し演習していればかなり高い確率で合格できる内容でした。
■合格したいあなたへ(各課目の要点解説)
金融|不動産|ライフ|リスク|タックス|相続
■試験対策(2024年第2回試験向け)
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■CFP®試験・相続事業承継について
・相続事業承継に合格したいあなたへ
・試験分析/相続 2021年 第1回 第2回
・試験分析/相続 2022年 第1回 第2回
・試験分析/相続 2023年 第1回 第2回
・試験分析/相続 2024年 第1回